京都府亀岡市で川下りの舟が座礁し、船頭2人が死亡した事故を受け、岩手県内の観光事業者も、安全対策の再徹底を図っています。

 一関市東山町の景勝地・猊鼻渓。北上川の支流・砂鉄川沿いにそびえる高さ50メートル以上の断崖絶壁が織り成す勇壮な景色を、舟の上から楽しむことができます。船着き場では30日午前、船頭などが参加して朝礼が行われていました。
 28日、京都府亀岡市の「保津川下り」で舟が座礁し転覆。乗客25人と、船頭4人が投げ出され、船頭の男性2人が死亡しました。
 この事故を受け、猊鼻渓の舟下りを運営する「げいび観光センター」は、運航の安全対策や緩やかな川の特徴をホームページに掲載しました。これまでのところ予約のキャンセルはありませんが、風評被害を心配しての対応です。
 猊鼻渓舟下りでは、法律に基づき乗客1人ずつに座布団式の救命用具を配布し、船頭は紐を引いてふくらませるライフジャケットを身に着けています。
 舟の方向を決めるのは、竿と呼ばれる木の棒です。竿を川底に押し付けることで、舟を操ります。折れたり流されたりした場合を想定して予備の竿も積んで運航しています。
 運航基準も明確に設けていて、基準となる場所の水位が35センチ以上となった場合か、風速が10メートル以上の場合は、運航中止となります。
 毎朝の朝礼では体調不良の船頭がないか確認しているほか、エンジン付きの舟3艘で航路に異常がないか随時見回りをしています。
 新型コロナの影響で例年の半分以下にまで観光客が減った猊鼻渓舟下り。安全対策を徹底して、春の行楽シーズンを迎えます。