石川県珠洲市周辺で続く活発な地震活動で、総合調査を行ってきた専門家が28日、市に研究成果を報告しました。専門家は「全体的に活動が収まりつつある」としていて、2年以上にわたって続いてきた群発地震が今後収束することが期待されます。

珠洲市周辺では去年6月に震度6弱と震度5強を相次いで観測するなど、2020年12月ごろから地震活動が活発な状態が続いていて、研究者が、地下深くにある水のような流体の関与を指摘しています。

東京大学地震研究所や京都大学防災研究所など国内12の機関は、文部科学省からおよそ4000万円の研究費を受けて、地震の原因解明に向けた総合調査を行いました。

総合調査の研究成果を報告する金沢大学の平松良浩教授=28日午後2時ごろ

珠洲市役所では28日、研究グループの代表を務める金沢大学の平松良浩教授が、泉谷満寿裕市長に研究成果を報告しました。

珠洲市周辺では群発地震と同時に地殻変動が観測されていますが、平松教授は、地殻変動が徐々に収まりつつあるという見方を示しました。そして「この傾向がそのまま続くと、地震活動も徐々に落ち着くのではないか」と述べました。一方で、群発地震では、規模の大きな地震が起こる時期は予測できないとして、今後も引き続き強い揺れに注意するよう呼びかけました。

珠洲市中心部と飯田湾=2022年6月撮影

また総合調査の中で珠洲市沿岸の飯田湾で新たに地形のずれが見つかり、平松教授は、これまでに知られていない海底活断層の可能性もあるとしました。

研究グループは、4月に開かれる政府の地震調査委員会や、5月下旬の学会でより詳細な研究成果を発表することにしています。