4年に一度行われる統一地方選挙についてです。この春も全国の約14%に当たる250の市町村で首長選挙が、また44%に当たる787の自治体で議会議員選挙が行われます。

岡山・香川では4月9日に県議会や岡山市議会、23日には高松市長選など市町村の議会選挙の投開票が行われます。私たちが住む街の代表を選び民主主義の基盤となる統一地方選挙。
しかし、今、全国で選挙の基盤を揺るがす問題が深刻化しています。今週末から岡山・香川で始まる統一地方選挙。4年ごとのタイミングで全国的に行われ今回で20回目となりますが、いま全国の自治体で、年々、投票が行われない無投票選挙の市町村が増えています。

坂井亮太キャスター「今月(3月)31日に告示される統一地方選挙、われわれの生活に直結する4年に1度の大型選挙です。岡山県では、19の選挙区に分かれ県議会議員選挙が行われますが、そのうちこの瀬戸内市選挙区など、約半数で立候補予定者の数と定数が同じ数となり、無投票当選の公算が大きくなっているんです」

有権者3万928人が暮らす瀬戸内市です。今回の県議選で、定数1の瀬戸内市選挙区では立候補予定者は今のところ1人だけ。そして、さらにこの事態が、過去4回、16年の間にもわたって続き、この間、実質、選挙が行われていないというのです。

▼有権者(80代男性)「私らは、あまり政治の事は関心がない」

▼有権者(80代男性)「(立候補者が他に)1人・2人くらい出てくれればいいけど、本当に選挙にならない。ダメじゃと思う。人材がおらんのじゃけ、瀬戸内市はだめじゃ」

▼有権者(18)「Q.今回の選挙は」「A.初めてです」「自分の投票が無効じゃないですけど、反映されないとか、なあなあで決まるみたいな感じがあると思うので、しっかり投票して決まる感じがいいと思います」
このように無投票になるとみられる選挙区は、瀬戸内市にとどまりません。RSKの取材では、今月31日に告示される統一地方選挙で岡山で10選挙区、香川では4選挙区で立候補者の数と定数が同じになり、無投票当選の公算が大きくなっています。


環太平洋大学でも教壇に立ち、岡山・香川の政治に詳しい日本大学の林教授は、無投票選挙は過疎地域で起こりやすく地域の疲弊を加速させる恐れがあると指摘します。

(日本大学法学部林紀行教授)「人口が少ない自治体の選挙区が『無投票』となるのが多いことが全国的な傾向。病院が無くなる。公共交通機関の問題もある。こういった、本来、地域の民意を代表して議会に持って行って『この問題はどうなのか』有権者のバックアップを得て活動しないといけない地域ほど、無投票となっている」
無投票によって、地域の問題に関する議論が深まらなければ、課題や解決策を行政が把握しづらくなるといいます。
日本大学法学部林紀行教授「『地方自治は民主主義の学校』といった言葉がありますが、民主主義の学校の一番支え・柱となる選挙自体の意味を問い直さないといけない、危機的状況にある」
ところで、前回2019年の県議選の投票率は岡山で42.30%香川で38.4%と過去最低でした。有権者の選挙権はもちろん、立候補するという被選挙権も生かし切れていないという現状が地方で浮き彫りになっています。
10増10減といった人口比による区割り改定など地方の声が届きにくくなっている今。地方選挙の重要性は増しています。統一地方選の前半戦は3月31日に告示されます。