陸前高田市教育委員会と印字されたプラスチック製の箱が、沖縄県宮古島市の海岸で発見され現地の博物館に保管されました。東日本大震災の津波で流出したものと見られています。
宮古島市の海岸で発見されたのは「テンバコ」と呼ばれる青色のプラスチック製の箱で、側面に陸前高田市教育委員会と印字されています。
市の教育委員会によりますと「テンバコ」は発掘作業の際に土器や石器などの埋蔵文化財を入れるために使われるほか、市立博物館でも物品の整理や保管のために使っています。
震災発生から12年、どのような経緯で2000キロも離れた宮古島で見つかったのか。保管している宮古島市総合博物館の学芸員、湯屋秀捷さんに聞きました。
(宮古島市総合博物館 学芸員・湯屋秀捷さん)
「観光客の方が3月19日に海岸に漂着しているのを発見されたと。SNSに画像と一緒にあげたのを私が個人的に見つけまして、博物館で回収させていただいた」
この「テンバコ」、陸前高田から直接、宮古島に流れ着いた訳ではないようです。
(宮古島市総合博物館 学芸員・湯屋秀捷さん)
「実はコンテナの周りに貝の他に、サンゴが複数個所ついていまして、ハナヤサイサンゴという名前のサンゴの一種だと分かりまして。大きさから予測するに少なくとも2、3年は暖かい海にあっただろうということが分かりました」
この「テンバコ」と同じようなものが陸前高田市立博物館で実際に使われていました。
(陸前高田市立博物館 松坂泰盛 館長)
「テンバコってのはこういう。これのちょっと深いものが見つかったようですね」
実は沖縄に「テンバコ」が流れ着いたのはこれで2度目。2年前の2021年11月、沖縄本島の国頭郡東村に流れ着いていたものが発見されました。
ほかにも高田高校の実習船「かもめ」が、2013年にアメリカ西海岸のクレセントシティで発見され、市に返還されています。
南の海を旅したのちにサンゴを着けて漂着した「テンバコ」。今後は宮古島市総合博物館で展示したあと陸前高田市立博物館に返還する予定だということです。
(陸前高田市立博物館 松坂泰盛館長)
「やっぱり陸前高田市に帰ってきたかったんだろうと思います」
(宮古島市総合博物館 学芸員・湯屋秀捷さん)
「今後もまた2000キロと離れていますが、博物館同士、市同士で交流できればと思っています」
「テンバコ」は2つの博物館をつなぐ絆となりそうです。