3年後に愛知県で開催されるアジア競技大会。大会組織委員会は名古屋市内に建設予定の「選手村」の計画を断念する方針を固めました。

(愛知県 大村秀章・知事)
「東京オリパラで多額の開催経費が問題視された。スポーツ大会における簡素化が求められている。東京大会のスポンサー選定で、大手広告代理店などの不祥事により、スポーツ大会に対する世論は非常に厳しいものとなっている」

困り顔で、このように話す愛知県の大村知事。そのワケは…。

(報告:池田有希記者)
「名古屋市港区にある、名古屋競馬場の跡地に予定されていた選手村の建設は、断念されることになりました」

2026年秋に愛知県を主会場として開かれるアジア競技大会。名古屋市港区の名古屋競馬場の跡地に「選手村」を建設し、選手団全体の3分の2にあたる約1万人を収容する予定でした。しかし、大村知事は27日午後、改めて…。

(愛知県 大村秀章・知事)
「選手村の施設整備の取りやめ。原料高・物価上昇などでコストは上がっている。建設関係が一番上がっているので、選手村の施設整備費は大幅に上昇する見込み」

選手村の整備費は、大会開催が決まった2016年時点で300億円を見込んでいました。しかし、原材料費の高騰などで2倍程度に膨らんでいて、県や市などでつくる大会組織委員会は選手村の建設を取りやめる方針を固めました。

今後、大会の主催者であるOCA=アジア・オリンピック評議会と調整が進められ、正式決定されます。

選手の受け入れについては、県内のホテルなどを借り上げる方向で、既に手配が進められています。大規模な国際スポーツ大会で選手村を設けないのは初めてだということです。前代未聞の事態に組織委員会会長の大村知事は。

(愛知県 大村秀章・知事)
「競技数、選手団の規模などは縮減できないか、真剣に協議を重ねている。さらなる経費縮減を図っていきたい」

アジア競技大会では最大41の競技が実施される予定ですが、大会経費の圧縮を進めるため、種目数や選手団の規模を絞り込む考えだということです。今回の方針を受けて、選手村建設予定地周辺の住民は。

(40代女性)
「壊した後になんで?という感じ。そのまま競馬場あってもよかった」
(70代男性)
「一時的なものに何億円と投資するのは、いかがなものかと思う」
(70代女性)
「駅があるから便利だし(選手村ができれば)お金が落ちただろうと思うけど。妥当な判断だと思う。税金のことを考えたらいいんじゃない」

一方で、こんな意見も。

(70代女性)
「(更地では)もったいない。住宅やショッピングの施設ができればいいが」

選手村などの整備は中部電力を中心とする事業者グループが担い、2024年度から工事を始める分譲マンションを選手村として使用し、大会後には商業施設なども建設して新たな街づくりが計画されています。

選手村の整備取りやめとなると、街づくり計画には「どんな影響」があるのか。今後に注目です。