「ランドセルを守るために傘を」2人が振り返る思い出は

卒業式を前に千隼くんと善哉くんはランドセルの手入れを始めました。父の手仕事を感じながら、特製の布とクリームを使いながら、気持ちを込めて汚れを拭きあげていきます。学年が上がってからは、手入れを自身で行ってきた2人。モノを大切に扱うことを学び、ランドセルへの愛着はひとしおです。

弟・善哉くん「2年生の頃に濡れたタオルをランドセルに置いていたら、色がついてしまって、変色しているんですよ。皮なので濡らしたらだめだったので。特に雨の日は大変で、ランドセルを守るために傘をさして、小雨でも注意していた」

兄・千隼くん「自分のランドセルは、みんなより個性的なところが嬉しかった。6年間これのランドセルを使ってきたから、中学にあがってほかのカバンになると寂しいですね」

そして卒業式を迎えた2人。少し緊張した面持ちで卒業証書を受け取り、同級生と共に、両親への感謝の気持ちを述べました。

「大きなランドセルを背負い入学したあの日、あれから6年、私たちはこんなに大きくなりました」

卒業式を終えて、校舎から出てきた2人。その大きくなった背中にランドセルの姿。自慢のランドセルとともに学び舎の前で写真撮影を行う中、その姿を写真に収める父・千善さんは感慨深げな表情を浮かべていました。

父・千善さん「大きなランドセルがかなり小さく見えますね。2人がこんなに大きくなったんだなと感動して涙が出そうになりますね。6年前にランドセルを作ることができて、それを彼らが6年間大切に持ってくれたことで感謝したい」

父が形にした愛情を、6年間大切にし続けた千隼くんと善哉くん。ランドセルを置いて迎える、新しいステージに心弾ませ父への感謝を口にしました。

弟・善哉くん「中学では部活とか難しい勉強も頑張りながら、友達を沢山作って遊びたいです」

兄・千隼くん「6年間使うことができたランドセルを作ってくれて、お父さんにありがとうございましたと伝えたいです」

この日、6年間の役目を終えたランドセル。背負われてきた2人の背中をこれからはひっそりと見守ります。