大きな波紋を広げている備前市の「マイナンバーカード普及政策」についてです。備前市が「マイナンバーカードを取得する世帯に限り、小中学校の給食費の免除などを受けられる」とした条例案が、きょう(23日)午後備前市議会で可決されました。

23日に開かれた備前市議会で、「学校給食費の無償化などの対象を、マイナンバーカードを取得している世帯に限定する」とした条例案が可決されました。

備前市では2022年12月、これまで行っていた「小中学校の給食費や保育園・こども園の保育料免除の対象」を「マイナンバーカードを取得した世帯に限る」との通達をしていました。

これに対し、「義務ではないマイナンバーカードの取得が、半強制的に促されている」などとして、市の内外から5万を超える反対署名が市に提出されました。議員からも反対意見が出るなど、全国的な物議を醸していましたが、23日に可決されたことで条例は4月1日から施行されることになります。

【解説】
備前市がマイナンバーカードの普及を目的に推し進めてきたこの条例案。そもそも備前市は独自の政策として、「小中学校の給食費・保育園やこども園の保育料の無償化」などという子育て政策を行っていました。

しかし、2022年12月、この政策の対象を「マイナンバーカードを取得した世帯に限る」と通達。反対の声が多く上がることになったのです。

さらに可決された条例案では、給食費や保育料に加え、「市営バスや乗り合いタクシーなどの運賃・高校の制服代や通学定期の補助・無償化」なども、カードを取得しなければ対象としないことを盛り込んでいます。

マイナンバーカードの取得を推し進める備前市では、「デジタル化社会を構築するため、個人情報を一元管理できるマイナンバーカードの普及は不可欠」としていて、現在の普及率は78・2%で岡山県でトップを走り、全国平均も上回っています。

その成果もあってか3月10日には、備前市は国から「デジタル田園都市国家構想」に関する交付金の内示を受けているのです。その額は約2億8500万円に上り、市では「マイナンバーカードを活用したサービスの充実」や「鳥獣被害対策などに充てたい」としています。

ただ、マイナンバーカードの普及のため、本来公平であるべき行政の住民サービスに、過度な格差が生じることへの懸念も生まれていました。

全国的にも注目を集めている、備前市のマイナンバーカードに関する条例。4月1日からの施行後も引き続き議論を呼びそうです。