土地取引価格の目安となる今年の「公示地価」が22日発表されました。このうち住宅地については岩手県全体の変動率が22年ぶりに上昇しました。

 公示地価は国が今年1月1日時点での土地の価格をまとめたもので、岩手県内は25市町村の186地点で調査が行われました。
 このうち住宅地127地点については盛岡市をはじめ県央と県南の7つの市と町、あわせて50地点で価格が上昇しました。これが県全体の価格を押し上げて平均変動率は0.1%となり、2001年以来22年ぶりで上昇に転じました。
 住宅地の上昇率トップは去年と同じ盛岡市向中野5丁目で上昇率が6.6%、1平方メートルあたり8万6900円です。近郊にイオンモール盛岡南があり、今後予定される盛岡南道路や盛岡市による工業用地の整備で取引価格の上昇が続いています。
 商業地の上昇率トップも去年と同様に盛岡市盛岡駅前通の明治安田生命盛岡駅前ビルで4.3%、1平方メートルあたり26万5000円となりました。盛岡駅前は大通と異なり、新幹線の停車する玄関口として県外からの投資も旺盛だといいます。
 商業地54地点の平均変動率はマイナス0.9%で30年連続の下落です。一方、沿岸と県北では人口減少に伴う地価の下降に歯止めがかからない状況です。最も下落率が大きかったのは住宅地が山田町船越でマイナス4.7%、商業地が岩手町沼宮内でマイナス5.4%でした。
 再開発や新規投資、撤退したテナントの回復といったアフターコロナを見据えた商業地の動向が注目される中、県内の地価を巡る二極化がさらに進みそうです。