福島第一原発事故で岡山県に避難した被災者らが、国と東京電力に損害賠償を求めた裁判で判決です。
岡山地裁は、国が津波を予見し、防潮堤を設置させたとしても、原発事故が発生した可能性はあったとして、国への訴えを退けました。
一方で、東京電力に対しては、5070万円の賠償を認めています。
この裁判は、福島第一原発事故で岡山県に避難した42世帯約100人が、「事故は予見できたにもかかわらず対策を怠った」として、国と東京電力に対し11億7700万円の損害賠償を求めていたものです。

午後3時から始まった裁判で、岡山地裁の奥野寿則裁判長は「国の2002年に出された地震予測によって津波による被害を予測し、防潮堤を設置したとしても、津波の侵入を防ぐことはできず、事故が起こった可能性はある」として、国の賠償責任を認めませんでした。
一方、東電に対しては原発事故によって原告らに損害を与えたとして、5070万円の損害賠償を命じました。
この結果を受けて、原告団は記者会見を開き、判決は不当だとして、控訴する姿勢を示しました。

(原告団 土屋暢樹共同代表)
「正直言って許せないという気持ちでいっぱいですので、勝ち取るまで高裁、それでもだめなら最高裁と、とにかくみんなで圧力をかけて勝利を勝ち取るために頑張っていきたい」

(弁護団長 石田正也弁護士)
「拍子抜けというか、私たちが一生懸命主張してきたことに対して、まったく何の返事もせずに、最高裁の判決をそのままもってきたという中身になっています」
判決を受けて、東京電力は「改めて心からお詫びします。判決を精査し対応を検討します」とコメントを発表。
国の原子力規制庁も「国への損害賠償は認められなかったが、審査を厳格に進め、適正な規制を行っていきたい」とコメントしています。
【解説】震災から12年。西日本最多で、今も800人を超える避難者が生活している岡山での判決です。
今回の裁判は、福島第一原発事故で岡山県に避難した被災者ら107人が、国と東京電力に損害賠償を求めたものですが、全国では同様の集団訴訟が30以上も行われています。

きょうの判決で、岡山地裁は被害を予測し、防潮堤を設置したとしても事故は起こりえたとして、国の賠償責任を認めませんでした。一方で、東電には、5070万円の損害賠償を命じています。

この集団訴訟を巡っては、昨年6月の最高裁が、「国が東電に対策を求めなかったことなどが著しく合理性を欠いているとは言えない」と、初の判断を示し、国の損害賠償を認めませんでした。
ここ数日、最高裁の判決後で初となる同様の裁判が仙台高裁などで行われましたが、最高裁と同じく、国の賠償は認めておらず、岡山地裁においても、同様の結果となりました。

原告団は控訴するとしていて、原発事故を巡る岡山での集団訴訟は今後も続くとみられます。