いよいよ春本番という気候ですが、「花粉症」の症状が出始めた方もいるのではないでしょうか。
この時期長野県内で飛ぶのはスギの花粉ですが、日本気象協会によりますと、すでに県内全域でスギの花粉が飛んでいるとみられています。
その花粉の飛散状況を毎日観測している人がいるということで、取材に行ってきました。
(坂下気象予報士)
「私がいるのは、松本市のショッピングモールの屋上です。ここで毎日、花粉の飛散量の調査が行われているんです」
松本市中心部のイオンモール松本。
花粉の飛散量を観測しているのは、この施設で耳鼻咽喉科のクリニックを開業している鈴木伸嘉(すずき・のぶよし)院長です。
信州大学医学部の特任助教も務め、開業した2018年以降、観測を続けています。
(鈴木院長)
「ここが花粉の回収装置で、ここのところにプレパラートがあって、一日1回、24時間さらしたものを交換します」
一日さらしたガラスの板=プレパラートについた花粉の量を顕微鏡で確認。
飛散量をホームページで公表しています。
(鈴木院長)
「花粉の数、飛散数によって患者さんの症状も変わってくるので、毎日花粉の飛散状況を調べることで患者さんに還元することができます」
2021年からは信大医学部と松本市、長野市の別の開業医、松本市の安曇小中学校、大野川小学校と研究グループをつくり、5か所で観測を実施。
行政機関による飛散量の調査は現在、長野県内では行われておらず、鈴木さんたちの観測データは貴重で、気象会社による飛散の予測にも役立てられています。
2023年は2022年より4日早い2月28日にスギ花粉の飛散が始まった松本市。
鈴木さんが予測する2023年の傾向は?
(鈴木院長)
「おそらく花粉の最大飛散日は3月24日から25日あたりとみている。昨年結構飛んでいますので、2023年は多いといっても、松本市は同じくらいか、ちょっと減るくらいではないかと予想しています」
(ニュースワイド宮入キャスター)
松本市は「2022年の同じくらいか少し減るくらい」という鈴木医師の予想でしたが、全国的にみると、花粉が飛びやすい条件は揃っているそうですね。
(坂下気象予報士)
スギは、6月から秋にかけて雄花を形成します。この時期の気象条件が雄花の量に影響し、翌年の花粉量につながります。

関東甲信地方の2022年の夏(6~8月)は、気温が平年をかなり上回りました。(平年+0.9度)
気温が高いと雄花の量が多くなります。
環境省がスギの雄花の芽を調査したところ、東北南部から九州にかけての多くの地域で前年より多い結果となっています。
(宮入キャスター)
では、どんな日に花粉が飛びやすい?
(坂下気象予報士)
◇晴れて暖かい日は雄花が開きやすい。
◇風が強く乾燥している日は、花粉が遠くまで飛びやすい。
◇雨上がりには、飛散しなかった花粉が飛び出し、地面に落ちた花粉が巻き上げられやすい。

花粉症を防ぐポイントと、症状が出た場合の対処法も鈴木院長に聞きました。
【花粉に触れない】
(鈴木伸嘉院長)
「アレルギー物質に触れないこと、体に取り込まないことがやっぱり一番とされています。花粉は結構飛び始めますけれども、マスクをしっかりして花の中、喉の奥に取り込まないこと。花粉用の眼鏡も出ているので、花粉用の眼鏡をかけたり」「外から帰ってきたときは家の中に花粉を持ち込まないように、家に入る前、玄関口では必ず服をよくはたいて家に入るのが基本」
【症状が出たら…】
(鈴木伸嘉院長)
「最近はアレルギーの薬も性能がいい薬が出ている。眠くならない薬もいくつか出ているので、しっかりあった薬を服薬してもらうのが基本」「花粉が飛び始める1~2週間前から薬を飲むと、その年は軽く済むという研究報告も出ているので、時間に余裕がある方は早めに病院に来ていただくのがいいと思う」
(坂下気象予報士)
これからがスギ花粉の本番、そして4月からはヒノキの花粉も飛び始めます。
花粉は体に入れない、触らない、症状が出たら早めに医師の診察を受け、薬の処方を受けるというのがポイントです。