手作業で行われていた野菜のパック詰め。同じ重さになるよう組み合わせる作業は生産者にとって大きな負担でした。

この状況を変えたのは熊本の企業が開発した装置でした。

トマトの収穫を迎えた八代市の農園。今、パック詰めの作業に追われています。

使われているのが「テーブルコンビ」という装置。1パック400グラムに統一するため、重さがバラバラのトマトをどう組み合わせればいいか、ランプが教えてくれるのです。

一目瞭然です。

宮本農園  片山彰二郎さん「(手作業での)調整が全く不要で、4割は時間や労力が削減できた」

この農園では3年前まで1つ1つ計量して手作業でパック詰めしていました。

片山さん「取り出して詰めて…ちょっと多いなとか。人間でやることに限界を感じていたので、あまり注文を受けられなかった」

この装置を導入することで、大きさや重さがバラバラの規格外のトマトも素早くパック詰めすることができ、幅広く商品化できるようになりました。

片山さん「(生産者にとって)希望ですね、機械化は」

この装置を手掛けたのは熊本市のメーカー・オーケープランニングの波多江満(はたえ みつる)社長。

開発のきっかけは出荷の時期、パック詰めに追われる生産者からの声でした。

オーケープランニング 波多江満 社長「収穫の時期は夜なべして子どもの顔を見られないとか、ご飯も食べられない、お風呂も一緒に入れないというような」

かつて大手計量器メーカーに勤務していた経験を生かし、およそ6年かけてテーブルコンビを完成させました。現在では、全国各地、そして台湾でもおよそ320台が稼働しています。

この功績が認められ、2017年に県内の製造業界に貢献した企業に贈られる県工業大賞を受賞しました。

波多江社長「(当時は)まさか受賞できると思っていなくて、光栄なのは当然なんですが、責任を痛烈に感じました」

その責任感から波多江社長は2022年、テーブルコンビをグレードアップさせた装置を発表。その装置が稼働する福岡の生協に向かいました。 

グリーンコープ生活協同組合連合会 野口雅彦さん「葉物野菜は扱いも丁寧にしないといけませんし、相当に手間がかかるので少しでも省力化したいと」

これが2022年12月に導入された葉物野菜向けの改良品「テーブルコンビpro」です。

はかりの上の小松菜が同じ重さにまとめられてベルトコンベアへ。

従来の装置では、ランプが示した組み合わせを人の手で取り上げる必要がありましたが、改良された装置では、適切な組み合わせの野菜をひとまとめにするところまで進められるように。

従業員「動きも計算も早いので、仕事が早くはかどります」

手作業では5人で1時間40パックしか袋詰めできませんでしたが、今は2人で60パック作業できるように。

野口さん「農業の規模を拡大したい生産者の方もいるので、選別や袋詰めを我々が請け負うことで野菜の生産に集中できる環境に繋がる」

波多江社長「優しくそっと落としたり、ゆっくり計ってもスピードが落ちない。ここは革命が起こると思っています」

そう語る社長は今年度、改良品の「テーブルコンビpro」を引っ提げて再び県工業大賞に応募しました。

そして3月8日、結果がメールで送られてきました。

オーケープランニング 小川友里枝さん「はっ…工業大賞、頂きました!みなさん、やりました!工業大賞でした!」

作業中の社員からも拍手が。出張中の波多江社長にも報告です。

波多江社長「最高の気分です。うれしいです」

今回は葉物野菜向けの装置での受賞。今はミニトマトなどの小さな野菜をひとまとめにできないか開発を進めていますが…

波多江社長「ポンコツ。動くようになってまだ1日2日」

あらゆる野菜での小分けという波多江社長が目指す革命に向けては、まだまだ道半ばです。