衛星画像や3D映像を使い“戦争の真実を”世界へ発信する東京大学大学院・渡邉英徳教授。
2月21日に東京・月島第二小学6年生の児童たちへ、出前授業「平和のかけら Pieces of Peace」を行いました。
今回は大学生が普段の授業で行う「創発」を取り入れ、児童たちは“自分たちで考え”“アイデアをだし”“表現する”ことに真剣な眼差しで取り組みました。

ひるおび「出前授業」を見て直談判

2022年8月11日に「ひるおび」で放送した、東京大学大学院・渡邉英徳教授と海老名香葉子さんによる「出前授業」。中高生に戦争の真実を語り、平和を共に考える内容でした。

この放送を見た東京・月島第二小学校の丸山美帆先生(6年生担任)が、東京大学大学院の渡邉英徳教授に直談判 。

月島第二小学校 丸山美帆先生
「戦争について児童へどのように伝えていくべきかと悩んでいるとき『ひるおび出前授業』を見てこれだ!と思い 渡邉教授の連絡先を調べメールしました」

東京大学大学院 渡邉英徳教授
「出前授業を飛び込みで依頼されたのも 小学生への授業も初めてだったが、丸山先生の熱い思いのメールを頂き準備を進めてきました」

渡邉英徳教授 戦地を衛星写真と3D映像で説明  

いよいよ出前授業の日。
渡邉英徳教授は、衛星画像や最新の技術を用いた3D映像を使い
戦禍のウクライナの子どもたちが置かれている状況について詳しく説明しました。

渡邉英徳教授
「この絵はウクライナで地下に閉じ込められた子どもたちが壁に描いた絵です。子どもたちはもしかしたらトンネルを堀って逃げだそうと相談していたのかも知れない」

「戦争が終わり、もしこの学校が取り壊された時、子どもたちが戦争で苦しい中、楽しさを見出すために描いた絵も無くなってしまうかも知れない」

「子どもたちの記憶を未来に残したい。そんな思いでデジタル化してデータを残す取り組み、デジタルアーカイブを行っています」

「平和のかけら」ワークショップ

『平和な世界とは何か』
児童は6人のグループに分かれ、戦争に関する写真を見て話し合い、戦争が奪う日常の生活について理解。自分自身で平和な社会をどうやって作るかを考えました。

その後、児童は戦争に関する写真を構成するパーツを組み替えて「平和な世界」をイメージし、作品を作りグループごとに発表。

児童の発表
「最初の写真は戦争から逃げている人たち様子でしたが、これは家族で寝ている様子です」

「安心して家でぐっすり寝れるという意味もあります」

渡邉英徳教授
「シンプルで、一発で何を描いているかわかるところもすごい」

「ミサイルが飛んでくるかもしれない。避難しなければいけない。自分ではどうしようもない理由で生活が邪魔されるのが戦争かもしれない」

「普通に学校にいける毎日がいかに幸せか気づかされる作品ですね」

児童の発表
「写真は戦争から逃げている人でしたが、この絵はみんなで楽しく旅行に行こうとしている様子です」

「恐怖など感じない楽しいところへ」

「後ろは新幹線です」

渡邉英徳教授
「この絵はとても考えさせられます。なぜかというと旅行かばんを持って新幹線を待っている同じようなシーンが、ウクライナではよその国へ逃げる人たちの様子だった」

「平和な暮らしと戦争は“表裏”。みんなが作り直した風景に込めた平和な世界でありたいという願いを大切にしてこれからも暮らしてほしいです」

渡邉教授が“子どもたちへ伝えたいこと”

渡邉英徳教授
「自然災害はどんなに備えていても必ず起きる。しかし戦争はおこさないで済むかもしれない。自分たちは無力かもしれないが、少しずつでも力を出し合い手を取り合って行けば戦争を起こさずに済むかもしれない

「その感覚を無垢な小学生の時代に持って欲しいと伝えたかった。これからも小学生や中学高校生にいろんな学校で平和授業を行っていきたい」

今回の渡邉教授と東京大学大学院生による出前授業「平和のかけら Pieces of Peace」。
児童らはどのように感じたのでしょうか。

児童
「戦争で当たり前の生活ができない人がいることを知り、普段の生活が出来ることが一番の幸せなんだなと感じました」

児童
「今は平和で幸せだと思っているけど、『平和って何?』と聞かれると平和ってなんだろう、どんな感じなんだろうと考えました」

児童
「人の手で戦争を起こせるという恐怖を知り、戦争を止めるために自分で何かできることはないかなと思いました」

〈渡邉英徳教授研究室メンバー〉
大井将生/Hao Cao/平本智子/岑 天霞/安本真也/福井桃子
/原田真喜子/三上尚美/髙田百合奈/中村健太郎/冨田萌衣

【ひるおび出前授業】は、ひるおび内で放送している特別企画。学校を舞台に、未来を担う子どもたちが社会課題を専門家と共に考え、議論する内容です。

過去の放送内容はこちら↓
「なぜお国のために戦った?」
子どもたちの疑問に“戦争孤児”海老名香葉子さんが語る言葉とはー【ひるおび】