卒業式のサプライズ演出が成功し、保護者が胸を打たれた高校が福岡県にあります。“黒板アート”に強い情熱を注ぐ美術部と書道部の生徒たちが団結。3年間の“お弁当”の感謝を伝えました。
◆“コロナ世代”が黒板アートに情熱

卒業式が2週間後に迫った先月14日。北九州市八幡西区の八幡中央高校の教室には、卒業を間近に控えた美術部員の姿がありました。
菅原陸生さん「保護者へのサプライズで黒板アートを書こう」
マスクをした高校生が、荒波に船をこぎ出す作品は、去年実施された「黒板アート甲子園」で八幡中央高校の生徒が描いた作品です。新入生を応援しようと描いたこの作品は、優秀賞を受賞しました。黒板アートに並々ならぬ思いを持つ八幡中央高校の卒業生たち。保護者も集まる卒業式の当日に3年間の感謝の思いを伝えようと企画しました。
「3年間お母さんお父さんが作ってくれたお弁当をモチーフにして感謝をテーマに書こうと考えました」
早速打ち合わせを始めた生徒たち。絵の構成を決めていきます。

男子生徒「個人的にお弁当をもうちょいこっち。わかる?」「見て欲しいのはこっちだからもうちょい真ん中に寄せたい」
女子生徒「文字が横に並ぶよりバラバラの方がのり弁っぽくない?」
卒業を迎える3年生は、入学からずっと新型コロナの影響を受け続けてきた世代です。
菅原陸生さん「入学式がなくて、自分たちが楽しみにしていたのは黒板アートでした。1年生のときは大会がコロナの影響で中止になって、2年生の時はちょっとずつ大会に出せるようになっていたけど。1年生の時に出せていないから経験がなくて、活動できなかった3年間」
堀真理子さん「初めて会った時もマスクでしたし、初対面がズームとかライン通話だったので未だにマスク取ったらこんな顔していたんだ!ということはありますね」
◆書道部の文字をプロジェクターで投影

卒業式の5日前。書道部員が書いた「ありがとう」の5文字をプロジェクターで映し出しました。この文字を型取り、お弁当の中に「感謝」の思いを詰め込みます。
菅原さん「ここが描けたら完成に近づくので楽しみです」
黙々と作業に励む生徒たち。卒業に向け、さまざまな思いが交錯します。
実末新太さん「この間まで中学生で入学したばっかりだったのに、もう卒業だ」
中川飛鳥さん「3年間の経験とか技術を見てもらいたいと思います」
大塚羽未さん「昔は意見をはっきり言えないタイプだったんですけど、はっきり言えるようになったし、これから大事になるものが鍛えられた3年間だった」