岡山市中心部に建設が計画されている「新アリーナ構想」についてです。

岡山に本拠地を置くスポーツ団体や経済団体が要望しているもので、岡山市のJR北長瀬駅周辺に、約81億円をかけて収容人数5000人規模のアリーナ建設が計画されています。

屋内スポーツを巡っては、シーガルズとトライフープがジップアリーナ岡山をホームアリーナにしていて、それぞれ希望日の利用が難しいほか、岡山リベッツも、先日まで岡山武道館が改修中で日程調整に苦慮していました。

スポーツのさらなる盛り上がりにつながると期待される「新アリーナ構想」ですが、建設費の負担や経済効果の試算を巡り、市と県での間で隙間風が吹いているというのです。「プロスポーツは県全体に好循環を与える」と県に負担を求める岡山市。一方、「経済効果の十分な説明がない」と反論する岡山県。両者の溝が深まっています。

(大森雅夫岡山市長)「屋内競技を行っているプロスポーツの振興をどう考えるのか、やっぱり県が乗り出していただくのが通常じゃないのかなと」

(伊原木隆太岡山県知事)「市が財政支援要請の根拠としている新アリーナの経済波及効果について、どういう積算をしたのですかというのを何度も何度も伺っても、いまだに回答をしていただいていません」

岡山市北区野田の市営住宅跡地に建設が検討されている「新アリーナ」。県内プロ・アマスポーツの慢性的な試合・練習会場の不足を解消しようと岡山市が進めてきました。

昨年9月の市議会で、大森市長は、「県にも新アリーナ建設の財政支援を求めたい」と答弁。

ところが今月、知事はこの発言に対し、説明が不十分なまま突然の支援要請を受けて困惑していると述べたのです。

(伊原木隆太岡山県知事)「経済波及効果が大きいんだからと、その経済波及効果をどのように出したのかというのが未だに説明がない。どんどん県の関与をと言われても大変戸惑っている」

市などの調査によりますと、新アリーナによる経済波及効果は約130億9700万円と推計されています。

しかし、県は、経済波及効果の計算や維持管理も含め根拠が不十分、何度説明を求めてもしっかりとした回答がないと指摘しているのです。

市は担当者間で10回以上説明したとしていますが、両トップの間には秋風が…。市は、県内プロスポーツの振興のため、今後も説明を続けたいとしています。

(大森雅夫岡山市長)「経済効果に対しての質問は一定の答えはさせていただいたようでありますが、より詳細なものが必要であれば提示していけばいいし、説明が足らないというのであれば、これから丁寧な説明をしていく事はやぶさかではない」

岡山商工会などの提言では、企業版ふるさと納税や寄付の活用、また、音楽イベントの興行などで年間1億5400万円の収入があり、採算可能としています。地域スポーツ振興に必要との声の一方で、岡山県の財政は厳しいのも現実です。岡山のスポーツ熱をどう盛り上げていくのか。今後の議論が注目されます。