「専守防衛」は“空文化” 反撃能力“具体例”の丁寧な説明は?
小川彩佳キャスター:
反撃能力を具体的にどういう場合に発動するのか、岸田総理は結局具体的な例を示しませんでしたが、これはどうしてでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩 氏:
表向きは「手の内を示すことになる」ということですが、これまでの防衛政策からかなり大きく踏み出しましたので、その整合性が取れないということで明示できないのではないかと思います。

そもそも集団的自衛権について、安倍政権時代に安保法制というのを作り、アメリカ軍が相手国から攻撃された場合、自国に攻撃を受けたものとみなして反撃できるということとした。
今回、さらに加えて反撃能力(敵基地攻撃能力)を認めることで敵基地からアメリカ軍が攻撃を受けた場合、日本への反撃とみなして敵基地も攻撃できるというところまで踏み出しました。
これはある意味、日本の防衛政策のかなり大きな転換です。
小川キャスター:
ただ、ここまでくると岸田総理があくまでも原則だと主張する「専守防衛」からは、大きく外れてしまうことになります。

星 氏:
これは「専守防衛」がほぼ有名無実化しているわけで、自衛隊関係者も「『専守防衛』が空文化している」と言っている人もいまして、そもそも「専守防衛」を残したのは“公明党への配慮”という点もあったのですが、実際にはなし崩しに「専守防衛」がどんどん転換されているということです。
防衛政策の大転換ですので、細かい具体的な例を含めて岸田総理も説明すべきですし、国会でももっと議論を深める必要がありますし、加えてメディアもこの問題についてもう少し関心を持って報道していくことも必要になってきていると思います。