新車の販売を装って複数の客から現金をだまし取ったとされる事件の初公判で、被告の男は起訴内容を認めました。

詐欺の罪で起訴されているのは、長野市で自動車販売店・デュナミスレーシングを経営していた小谷徹(おたに・とおる)被告・63歳です。

起訴状などによりますと、小谷被告は、新車をほかの店より安く販売する名目で、小諸市の男性から現金320万円、須坂市の男性から400万円、上田市の女性から200万円を、それぞれだまし取った罪に問われています。

長野地方裁判所で行われた27日の初公判で、小谷被告は、「間違いございません」と起訴内容を認め、弁護側も争う姿勢を見せませんでした。

検察の冒頭陳述によりますと、小谷被告が経営していたデュナミスレーシングは、1995年に開業後、2007年から赤字経営となり、2021年以降はコロナ禍や自らの病気(脳梗塞)の影響で経営はさらに悪化。

発注する意思がないにも関わらず「ディーラーと週に1台発注する契約を結んでいる」「現金で取引をしているから安くなる」などと謳い、被害者から現金をだまし取ったとされています。

被害者からだまし取った金は、ヤミ金や顧客への返済などにあてていたということです。

今回は立件されていないものの、被害を訴える男性などによりますと、先払いで代金185万円を支払ったものの、「新型コロナによる影響」などと言われ、結局納車はされず。

そもそもディーラーには発注されていませんでした。

(被害を訴える男性)「社長に対しては、ただただ怒りしかないです。それだけです」

検察はほかにも数件の余罪があるとして、3月中にも追起訴する方針です。