◆かつての九州一の都市も人口6万6000人減少

商業施設の閉鎖も相次いだ。まちのシンボルだったスペースワールドが惜しまれながら閉園。2019年には小倉駅前のコレットが、そして黒崎井筒屋もおよそ60年の歴史に幕を下ろした。

人口は、北橋市長が就任した2007年からこの16年間で、6万6000人ほど減少しました。この16年間の街の変化を市民に聞いた。

北九州市民「もうちょっとにぎやかにしてもらいたかった。どんどん人が減っていく」
北九州市民「高齢者も多いしね、起爆剤みたいなものがあればいいと思う」
北九州市民「IT企業がもっときてくれたら良いなと思う」
北九州市民「若い人がもうちょっと入って来られる街にしてほしかった」

経済の衰退や人口減少の責任を問う厳しい意見も聞かれた。

◆工藤会の封じ込めで「負のイメージ」払拭

その一方で、多くの人が実感しているのが治安の向上だ。

北九州市民「すごい治安がよくなって住みやすくなった。怖いイメージがあったんですけど薄らいできたなと感じる」

全国で唯一「特定危険指定暴力団」に指定された「工藤会」は北九州市を拠点とする。凶悪性は群を抜き、市民を標的にする犯罪を次々と起こしきた。北九州市が“暴力団の街”のイメージを背負うのは、工藤会の影響だ。このため北橋市長は、暴力追放運動を力強く推進し先頭に立ってきた。警察も「頂上作戦」として工藤会トップの野村悟被告(1審で死刑判決)を含む幹部を軒並み逮捕。2020年に本部事務所は解体された。刑法犯の認知件数は、ピークだった2002年から87%減少した。今や「暴力団」を連想させる負のイメージは大きく変わりつつある―。

積み残した課題、大きく改善した課題。そして、新たに生じた課題。いずれも、次の市長に引き継がれる。北橋市長は次の世代を担う新市長にエールを送った。最後の公務は19日日曜日に開催される「北九州マラソン」だ。そして週明けの月曜日には、武内和久新市長が初登庁する。

北橋市長「環境の継承は面白いと思う、次の市長の下で実らせてもらいたい。市の職員を信頼して、存分に一緒に仕事をしてほしい」