関西電力の高浜原発4号機(福井・高浜町)の原子炉が自動停止した問題は、「制御棒」を作動させる装置の不具合が原因だったことが判明しました。

 1月30日午後3時すぎ、高浜4号機で『中性子量の急減を示す警報』が発信され、原子炉が自動停止しました。冷却は問題なく進んで翌31日の夜には冷温停止状態に。放射性物質の漏れなどはないということです。

 一方、これまでの調査で自動停止直前の「制御棒」の状況が明らかになりました。

 「制御棒」は中性子を吸収しやすい物質でつくられた棒で、核分裂をコントロールする重要な部品。高浜4号機には48本あります。

 制御棒を原子炉内に入れると、多くの中性子が棒に吸収されて核分裂の回数が減少、出力が下がります。逆に制御棒を原子炉から引き抜くと、中性子の数が増えて核分裂の回数が増加、出力が上がります。

 当時は運転中のため、すべての制御棒は原子炉の上部に引き抜かれていましたが、関係者によりますと、1月30日午前0時すぎに「制御棒駆動装置」の故障を示す警報が発信されました。

 確認すると、引き抜かれた制御棒を電磁力で保持する「ラッチ」と呼ばれるパーツの電流値が低いことが判明したということです。

 そのため、ラッチのコイルの電源を切ったところ、中性子量の急減を示す警報が発信、原子炉が緊急停止しました。

 つまり、制御棒が予期せぬ形で原子炉に落下し、中性子を吸いつけて量が急減、警報が発信されたとみられます。

 その後の調査で、制御棒駆動装置の一部の電源をオンからオフに切り替えたところ、本来作動すべき制御棒とは別の制御棒が原子炉に挿入されるケースも生じたということです。

 関電は、不具合が起きている「制御棒の駆動装置」について詳細な調査を行っていて、現時点で高浜4号機の運転再開のめどは立っていません。

 原子力規制庁によりますと、営業運転中の原子炉が自動停止したのは、2011年10月の九州電力の玄海原発4号機(佐賀・玄海町)以来だということです。

 今回の高浜4号機と同じく、中性子量の急減を示す警報で原子炉が自動停止したのは、1988年12月の関電の高浜原発3号機以来約34年ぶりの事象です。