特殊詐欺の被害を減らすため、静岡県警が新たな対策に乗り出します。キーワードは「昭和32年」と「女性」。静岡県警が打ち出した新たなターゲットの狙いとは?

<寺坂元貴記者>「詐欺の被害をどう食い止めるのか。県警の新たなプロジェクトがきょうここからスタートします」
 特殊詐欺の被害を減らそうと、静岡県警本部の一室で4月26日に開かれた会議。取り締まりや防犯を担当する幹部が揃う異例の会議で、新たな目標が示されました。
<静岡県警 原田達彦生活安全企画課長>「昭和32年以前に生まれた人が被害のほとんどを占めている。今回の対策ではここに照準を当てたい」
 昭和32年といえば、第1回の静岡まつりが開かれ、日本平ロープウェイが開業するなど、静岡の観光に大きな動きがあった年です。なぜ、この年がターゲットになっているのか。当事者意識を持ってもらうための取り組みなのです。
<静岡県警 尾藤厚至生活安全企画課長補佐>「警察は今まで高齢者に漫然と広報してきたが、そこを変えて昭和32年以前生まれの女性に気づきを与えられる広報の仕方に変えた」
 性別や年代別に見てみると、65歳を境に一気に被害件数が増えているのが分かります。静岡県警はこれまで、広く高齢者に警戒を呼び掛けていましたが、あえて昭和32年以前と絞った表現をすることで、高齢女性に自分のことだと感じてもらう方向にシフトしたのです。特に狙われやすいのが、一人暮らしや家族と同居していても、一人になる時間がある高齢の女性です。静岡県内の特殊詐欺は被害が拡大する傾向にあり、2022年もすでに2021年の同じ時期よりも多い2億5000万円あまりの被害が確認されています。詐欺電話は、あなたのもとに、いつ、かかってきてもおかしくない状況なのです。
<静岡県警 尾藤厚至生活安全企画課長補佐>「例えば食事をしている時に一度『特殊詐欺の被害が多い』と話してもらうのも重要な対策になると思う」
 静岡県警は今回の会議で決まったあらゆる対策について、5月から段階的に導入していく方針です。