公立中学校の休日の部活動の指導を地域の指導者などに委ねる「地域移行」に向けた会合が開かれ、山口県の方針を早く決めるよう求める声が相次ぎました。

県教委や県中学校体育連盟などでつくる「部活動改革推進協議会」が県庁でありました。
国は当初、新年度から3年かけて中学校の休日の部活動を地域に完全移行するという目標を掲げていました。
しかし、自治体などから「現実的に難しい」などの意見が相次いだことを受けて、「地域の実情に応じて、可能なかぎり早期の実現」を目指すことに変更しました。
山口県ではどうするかはまだ示されていないことから会議では、混乱が起きないよう県の方針を速やかに策定するよう求める声が相次ぎました。

部活動の地域移行について検討が進められていますが、実際に取り組みを進めている現場はどういう状況なのでしょうか。
周南市のある中学校では2021年度から研究指定校となって一足早く、地域の人が部活の指導をしています。
取り組みから見えたメリット、そして課題を取材しました。
周南市の秋月中学校です。
軟式野球部や吹奏楽部など、7つの部活動があり、このうちの5つでは市や地域の指導員が指導しています。
卓球部を指導する笠井貴史さん。
高校時代はインターハイにも出場しました。

市の体育協会に就職後もクラブチームで卓球を続ける現役選手です。
部活の指導は、その競技の経験がない教員があたるケースもあります。
経験豊富な指導員から専門的な指導を受けられる選手たちは、「密度の濃さ」を感じているようです。

秋月中学校・卓球部員(中学2年生)
「専門的な技術を1人1人に教えてもらうことができているのでそこは1番のいいところかなと。サーブが1番僕の中では変わったところかなと」
女子バレー部の林浩司さんは元教員で、定年退職後に指導員の仕事を引き受けました。自身の経験を重ねて、地域移行が軌道に乗れば教員の長時間労働を改善できると期待しています。
バレー部を指導 林浩司さん
「現場の先生は大変だろうなとは思いますね、だから手が空いている者がやってあげれば現場が助かるなら一石二鳥じゃないかなって」

順調に見える、この取り組みですが課題も見つかりました。
秋月中が研究指定校となるのは今年3月までの2年間。

この間は、国からの支援金から指導員の給料が支払われていますが指定終了後の来年度からは白紙の状態です。
秋月中学校 鶴岡洋子 卓球部顧問
「こういう形を市とか県とかからお金が出ないんだったら学校でやっていかなきゃいけなくなるので保護者の負担になると思うんですよ、そうなるといろいろな問題が起きるかなと思います」

さらに根本的な課題も・・・
女子ソフトテニス部を指導するのは教員の重本直美さんです。

指導員が見つからず、平日の授業と部活、そして土日も部活です。

秋月中学校ソフトテニス部を指導 重本直美さん
「午後6時が総下校なのでそこで部活が終わって職員室に戻って仕事。休みがあるとすれば自分の時間が確保できるのでうれしいことなんですが、より一層生徒のために授業の準備とかにも時間をあてられるかなと」
去年、日本教職員組合は「部活動の地域移行の課題」を調査しました。
「指導者を確保できない」が72.5%と突出しています。
部活動の地域移行は、競技力向上と教員への負担軽減につながり得る手法ではありそうです。

ただ、どこまで実現可能なのか、不透明さも残ります。
クリアすべき課題はまだ、多く残されています。














