石川テレビ放送(金沢市)は、石川県の馳浩知事が出場したプロレスの試合をめぐり、映像の提供が受けられなかったとして馳知事に質問状を提出していましたが、対応が不適切だったとして質問状を撤回し、謝罪しました。

馳知事は休暇中の1月1日、日本武道館で開かれたプロレス試合にサプライズ参戦し、地元のテレビ局や新聞社が試合の主催者から提供された写真などを使用していました。一方、石川テレビは主催者から提供の許諾を得られませんでした。

石川テレビは、馳知事が主催者側に石川テレビへの映像提供を行わないよう働きかけたとして、1月16日付で馳知事に質問状を提出していました。

定例記者会見で石川テレビの記者から質問を受ける馳知事(中央)=1月27日、石川県庁

これに対し馳知事は、1月27日の定例記者会見で、石川テレビが去年制作したドキュメンタリー映画で、自身や県職員の顔のアップや名札が判別できる映像が使用され「肖像権の扱いに納得できない」として、プロレスの映像は提供できない考えを示しました。

ドキュメンタリー映画が報道番組ではなく「商業映画」に当たると主張した馳知事=1月27日、石川県庁

これを受け石川テレビは2月3日、報道機関に宛てた文書の中で、質問状の提出そのものが不適切だったと判断し、質問状を撤回したうえで馳知事に謝罪したことを明らかにしました。

北陸放送の取材に対し、石川テレビの担当者は、映像の提供を決定する権限は主催者にあり、馳知事に質問状を提出したことは「行き過ぎた行動だった」としました。

石川テレビ放送の本社=2020年8月、金沢市観音堂町

一方、馳知事は、肖像権をめぐる問題について、2月の定例記者会見の場で石川テレビの社長と議論したい考えを示しましたが、石川テレビは、社長が出席するかどうかは回答できないとしています。