アサリの産地偽装が明らかになってから約1年。熊本県内の漁場では新たに別の問題が起きていました。

1月31日午前、玉名市沖にある滑石漁協の漁場を訪ねると、産地偽装とは別の被害が出ていました。

記者「通常は網の下で守られてアサリは育っていますが、このあたりには網がめくれていたり網が無くなっている場所があります」

この漁場では、先週の寒波に伴うシケで天然のアサリを守るために設置した網がほとんどはがれたということです。水中を覗くと海底に網はなく、重しとなる白い袋だけが…

県産アサリを巡っては2022年1月、干潟に短期間まいた「中国産」を「熊本県産」として出荷していた実態が明らかになりました。

これを受けて、県は2月から約2か月間県産アサリの出荷を停止。約2億円を投じて流通をQRコードで管理するなど独自の対策を講じた結果、2022年の出荷額は前の年の3.4倍に増加していました。

熊本県漁連 藤森 隆美 会長「1番いい形になった。ずっと念願だった産地偽装を一掃できた」

天然アサリを扱っていたため産地偽装では大きな影響を受けなかった滑石漁協。しかし、2年から3年育てた天然アサリの出荷をおよそ1か月後に控えての新たな問題に漁協関係者は肩を落とします。

滑石漁協 橋本 孝 組合長「せっかく今まで組合員が頑張ってきたのに、生産量がだいぶ減るということはやっぱりちょっと問題」

さらに、アサリの減少によって有明海のもう1つの特産への影響も懸念されます。

橋本組合長「ノリに被害が出る赤潮の原因となるプランクトンをアサリが食べるから相乗効果が出てくる。アサリがいることによってノリも守られる」

アサリの産地はいま、再び苦境に立たされています。