スキー場とは違い管理されていない斜面を滑るバックカントリー。自然の中を滑る楽しさがある一方で、準備や予備知識なしでは命を落とす危険も潜んでいます。雪山のプロに必要な装備や知っておくべきことを専門家に聞きました。
バックカントリーで滑るスキーヤー・スノーボーダーの引率や安全講習を行うガイドの長井淳さんです。

【JUNRINA mountain service 長井淳さん】「管理されていない自然の中を楽しめるということが一番だと思う」
自然を感じながら新雪の上を滑る楽しさが魅力のバックカントリー。

日本は都市部から比較的近いところに雪が降り積もる山が多く、外国人客にも人気です。しかし…
【長井淳さん】「スキー場と違ってパトロールもいないし、滑りやすい圧雪をしているわけでもない」
県がまとめたパンフレットにも次のような注意点が挙げられています。
■木の幹の周りが穴になっていて気付かずに落ちてしまう。
■パウダースノーに埋まり窒息してしまう。
■ケガをして助けを求めても周りに人がおらず気付かれない。
■見えない先に何があるか分からない
などの危険が整備されていない斜面には潜んでいるのです。

長井淳さん】「バックカントリーって滑ることにスポットライトを当てがちだが、実は環境を把握するスキルが必要。自然って毎日同じじゃない。やっぱりお金と時間がすごくかかるし、何度も何度も山に向き合って観察することが大事」

実際にどんな準備が必要なのか…長井さんのリュックサックの中身を見せてもらいました。

【長井淳さん】「みんな必ずこのビーコンにスイッチを入れて携行していて雪崩に埋没したときに発信した電波を探って助けるという機械」

これは雪崩で埋まった仲間を助けるためにこれを組み立てて3メートルの棒になる」

他にも救助用のロープやスコップなど重さは全部で10キロほど。
ただ、これらは万が一の事態に備える道具で、一番大切なのは、やはり知識と経験を身につけることだといいます。

長井淳さん】「プロとして活動していても、勉強に終わりはない。雄大さとか楽しさばっかりが前面に行き過ぎて、なかなか(勉強など)そういうところはスポットライトが地味すぎて当たらないが、やっぱり安全というのはコツコツやっていかないと」

※整備されていない自然の中をバックカントリーと呼びますが、ゲレンデの立ち入り禁止区域を滑るいわゆる「コース外滑走」はスキー場のルールで禁止されています。これからバックカントリーに挑戦したいという人は、まずはスキー場の色々な雪質でしっかりと滑れる練習をして、それからガイドや有識者と一緒に情報の多いメジャーな山へ行くのが良いということです。