「仕留めるだけでなく解体するまで全て1人で」罠師の命との向き合い方

仕留めた獲物は、すぐに自宅に持ち帰り捌きます。

(罠師・古田洋隆さん)
「マッサージして(血を)抜き取ります。獣臭さが取れます」

体に残った血も丁寧に抜き取ることで、臭みのない肉に仕上がると言います。

(罠師・古田洋隆さん)
「目を瞑っても切れます。何千頭何万頭といままで解体してきた」

もともと洋服の販売をしていた古田さん。営業先でシカによる獣害を目の当たりにし、35歳のころに罠師になりました。

(罠師・古田洋隆さん)
「一挙に、ここ20年ぐらいで急激に増えた。だんだん獣害がひどくなってきてこれではダメだなと」

その後、豚や牛の解体施設で捌き方も学び、獲物を仕留めるだけでなく、解体するまでを 全て1人で行うようになりました。

(罠師・古田洋隆さん)
「プロとして命を頂くわけですから。この肉に命を吹き込んで、余すことなく使ってくれる料理人にバトンタッチしています」

古田さんなりの、命との向き合い方です。

料理人も絶賛「食材が良くなければ最高の料理に到達できない」

料理人も、古田さんのジビエ食材を絶賛します。

(ミュゼ ボンヴィヴァン・出口直希代表)
「処理が悪い血の回ったシカ肉はこれぐらいの距離で臭い。吉田さんのシカ肉はまったく…(臭くない)」

銃や檻を使った猟とは違い、肉がほとんど傷つかず、鮮度も段違いに良いのがその理由。

(ミュゼ ボンヴィヴァン・出口直希代表)
「ぼくたち料理人が、どれだけ頑張っても食材が良くなければ(最高の料理には)到達できない。他に代えようがない食材」

自身が仕留めた肉を、夫婦で楽しむことが一番の喜びだという古田さん。

(罠師・古田洋隆さん)
「素晴らしい感動する。こういう料理に仕立ててもらえるということは素晴らしい」

(妻・賢子さん)
「ピュアなんですよね。透明で、彼の獲ってくるシカ肉は」


獲物を仕留め続けて、30年以上。次の目標は、自分の技術を伝えることだといいます。

(罠師・古田洋隆さん)
「自分に肩を並べる人、自分を超える人を作るのが、これからの使命だと考えています。やっぱりオンリーワンではダメだと思っています。その方たちが一人前になって獣害で困っている地域で生計を立てて頂くことが使命」

CBCテレビ「チャント!」1月24日放送より