こちらの映像は、その日、搾ったばかりの生乳を捨てているようすです。
道内の酪農の現状を知ってほしいと、取材に協力してくれた農家がいます。
酪農の現場で、今、いったい何が起こっているのでしょうか。
松枝牧場 松枝靖孝さん
「よしよし…こいつかわいいんですよ」
十勝の広尾町で酪農を営む松枝靖孝(まつえだ・やすたか)さん。5代続く農家です。
180頭飼育できるはずの牛舎に、今は150頭しかいません。
松枝牧場 松枝靖孝さん
「結局、減産というのがわかったんで、春先に30頭くらい牛を淘汰して…牛舎は牛を入れたら入れた分だけ、もうかるので、本来は入れたいんですけど」
今年度、道内では、16年ぶりに牛乳や乳製品の原料となる生乳の「生産抑制」が実施されています。
今年度の生産目標は、昨年度より20万トン以上も少ない410万9000トン。
新型コロナなどの影響による、乳製品の消費低迷が背景にあります。
余った生乳は、乳業メーカーが脱脂粉乳などにして保存しますが、現在、その在庫は9万トン近くと、過去最大に。
これ以上在庫は増やせない…農家は、減産を強いられることになりました。
年間2100トンの生乳を絞ることができる松枝さんの牧場でも、今年度の目標枠は1600トンに減らされました。500トンを減らすには、1日に1トン余りを減らさないといけない計算です。
松枝牧場 松枝靖孝さん
「みんながきちんと守ることによって、北海道の乳業を守りましょう、みたいな…」
乳量を減らすために、松枝さんは様々な対策を重ねました。
搾乳を停止する「乾乳(かんにゅう)」もその一つです。
松枝牧場 松枝靖孝さん
「早期乾乳はさせていただきました。病気も増えちゃいますし、死ぬ牛も当然増えたりはしましたね、分娩事故も増えましたし」
エサも内容を変えました。
松枝牧場 松枝靖孝さん
「いろんなものを使って乳量を増やすような働きがあるんですけど、配合飼料を減らしてみたり、たんぱく質を減らしてみたり…」
また、飼育する牛を減らすため、30頭ほどの牛を売りました。
松枝さん
「肉の価格も当然落ちているからすずめの涙的な…金額にしかならなかった」
しかし、それも限界に。去年12月、松枝さんは苦渋の決断をします。
松枝牧場 松枝靖孝さん
「廃棄で1750キロ、1.75トン、ざっくり計算で行くと、17万円くらい、毎日です。すごく悲しいですよ。彼ら(牛)にしたら牛乳って、血液をろ過してつくっているようなものなので、体削ってつくっているようなものなんですよ」
生産抑制によって収入が減る一方で、えさ代の高騰など、牛の生育にかかるコストは1.5倍以上に。
3年前に建てた牛舎など、設備投資の借金返済も重くのしかかります。
松枝さん
「財源がないんですよ、収入がないから。何とか払いましたけど、素晴らしく厳しかった…」
厳しい経営を強いられながら、生乳の廃棄を余儀なくされている道内の酪農家は少なくありません。
十勝の別の酪農家は、減産を守るために廃棄を続けてきたものの、躊躇する日もあるといいます。
北藤ファーム 北藤英利さん
「牛乳を捨てるっていうのは…すごい抵抗があるんですよね、みなさん同じだと思うんですけれども。やっぱり心が痛くて、最後にどうにかならないのかなって、ちょっと希望をもってますけども…」
厳しい現状への対策として、道内で生産する加工用の生乳の価格は来年度一律10円引き上げられることになりました。
また、国は、ことし3月から、生産抑制のために牛を処分した場合、1頭につき15万円を支払うことなどを決めました。
農水省の元官僚で、生乳市場に詳しい専門家は…
東大大学院 鈴木宣弘 教授(農業経済学)
「そもそもこのようなことは回避できる。酪農家さんに負担をかけすぎて、牛乳の需給調整が行われているからこういうことになるわけで、本来は、政府が乳製品在庫を買い上げて、需給の最終調整を責任持ってやるという部分をしっかりもってればですね…これは他の外国はすべてやっています。北海道の酪農を守るために、国は責任をもって予算をつけるべきだ」
【堀内大輝キャスター解説】
道内の生乳の生産、過去を見てみますと、10数年前に1回、生産調整がありました。
この2年後にバター不足になって、スーパーからバターが無くなったというニュースがあったんですね。
道内はそこから大まかに見て増え続けているんですが、コロナなどの影響で、今度は減産ということになる…増産、減産と酪農家は翻弄され続けているわけなんです。
1月26日(木)「今日ドキッ!」午後6時台
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