新たな「世紀の発見」となるのでしょうか。20世紀最大の発見とされた古代エジプトの王・ツタンカーメンの墓。その壁の奥に別の巨大な王墓が隠されている可能性があることがわかりました。
世界4大文明の一つ、エジプト文明。悠久の時を超え、その謎を解き明かす可能性を秘めた研究成果が17日夜、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」に掲載されました。
「ツタンカーメンの墓の奥に『隠し部屋』か 新たな証拠」
今から3300年あまり前に在位し、黄金のマスクで知られるツタンカーメン。その墓はおよそ100年前、 エジプト・ルクソールの「王家の谷」で見つかりました。
このツタンカーメンの墓をめぐって、2015年に浮上したのが“未知の空間”があるのではないかという仮説です。墓の階段を下りた右側に棺が置かれた部屋があり、北側の壁の奥に“その空間”があるというのです。
この仮説を唱えた調査団メンバーは、壁に入った直線のひびに着目。
エジプト考古学者 ニコラス・リーブス氏
「興味深いのは、カビの生え具合です。私が人工の壁だと考えている方にカビが多いのです」
ひびを境に、向かって右側は左側よりもカビが多いことから、右側の壁の奥には空間があり、湿気でカビが増殖したと推測したのです。
こうした仮説をもとに、2023年から、エジプト、イギリス、日本による調査団が総合的な科学調査を行い、慎重にデータの解析を続けてきました。
鍵となったのは、わずかな重力の変化から地中の構造を調べるマイクログラビティ調査。物理探査の専門家、ジョージ・バラード氏が解析した結果、壁の向こうに通路と、複数の部屋が並ぶ構造が広がっている可能性があることがわかったのです。
奥に行くにつれて深さが増す造りは、典型的な王の墓の構造になっています。
では、王の墓だとすれば、そこに眠るのは誰なのか?
エジプトの元考古相で、調査団長として指揮をとったエルダマティ氏は…
ツタンカーメン墓調査団長 マムドゥーフ・エルダマティ元考古相
「もし、ここがネフェルティティの墓であれば、今世紀で最も重要な発見の一つになる」
古代エジプト屈指の美女と称される王妃・ネフェルティティ。ツタンカーメンの義理の母親にあたる人物ですが、その墓はいまだ見つかっておらず、古代エジプト「最大の謎」の一つとされてきました。
調査団は、新たに判明した空間はネフェルティティが女王となって埋葬された墓ではないかとにらんでいます。
その根拠の一つが墓の構造です。古代エジプト研究では、墓を進み、直線か左に曲がるのは男の王の墓。右に曲がるのが女王の墓の特徴だとされています。
しかし、ツタンカーメンの墓は右曲がりであることから、ツタンカーメンの墓の奥に女王の墓があるのではと、調査団は見ています。
さらにもう一つ、根拠とされるのがツタンカーメンの副葬品・黄金のマスクです。そこにはツタンカーメンの名前が刻まれていますが、よく見ると、文字を削った痕跡が…。元の名前を復元すると、浮かび上がったのは、ネフェルティティが女王になる前の別名です。
10代の若さで亡くなったツタンカーメンには、まだ副葬品などの準備がされておらず、ネフェルティティのために作られたものが流用されたのではないかとみられています。
ほかにも多くの副葬品が流用されているとみられることから、ツタンカーメンの墓自体もネフェルティティのために造られていた墓の一部を拡張し、急遽、造られた可能性が考えられるというのです。
ピラミッドを研究する名古屋大学の河江教授は、ネフェルティティの墓が見つかることの意義について…
名古屋大学 河江肖剰 教授
「ツタンカーメンとは比べ物にならないくらい、彼女自身もファラオ(王)としてエジプトを統治していたので、(仮に)その人物の墓が発見されたということになると、一般的には金銀財宝みたいなイメージがあるとは思うが、混乱のアマルナ(時代)の最終期に何が起こったのか、ものすごい情報がそこにはある」
そのうえで、17日夜に発表された研究成果については…
名古屋大学 河江肖剰 教授
「新たなさまざまな地球物理学的な証拠で、その中で実際、シミュレートでここまで新しい形で可能性を示せたというのは非常に大きい一歩。ネフェルティティの墓が発見されたことにダイレクトにはまだ繋がらないが、楽しみな一歩だとは感じています」
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