厳しい環境を私も体験してきました。

根本教授
「どうでしょう?ブルーシートはあたたかいですか?」

 避難所の室温は2度。床は、ブルーシートの上に、毛布が1枚。

体験者
「(この状態で一晩過ごせると思いますか?)厳しいですね。体痛いです、もうすでに」

 暴風雪での立往生を想定した、車の中では…

堀内大輝キャスター
「(どうです?30分くらいたちましたが)そうですね、寒いですね。下半身がすごく寒い」

 厳しい寒さを伴う災害。身をもって体験し、備えようとする人たちがいました。

 21日と22日、北見市の日本赤十字北海道看護大学で行われた災害演習。真冬に、停電を伴う災害が起きたという想定です。
 自治体や医療関係者など、およそ100人が参加し、避難所の運営や避難生活を体験しました。

堀内大輝キャスター
「積み上げられているのは、段ボールベッドです。体育館の中を、ゾーニングして、ベッドを組み立てている状況です」

 避難所で必要になる段ボールベッド。小さい段ボールを大きな段ボールに入れて、強度を高め、寝床にします。
 最新のワンタッチ式は、およそ2分で、あっという間に、完成しました。

堀内大輝キャスター
「このベッドの上に寝ると、床で寝るよりも10度ほど体感が違うそうです」

 冬場、床で雑魚寝をすると、体温が奪われます。
 保温性に優れる段ボールベッドは、なくてはならない重要な品です。

体験者
「ちょっと上に上がるだけで温かい。足音とか響かないのもいい」

 寝床はパーティションで囲まれ、個室のようになりました。
 真冬の災害で、懸念される問題に「低体温症による死亡」があります。
 服を濡れたままにしない、保温できる資材を使うなどの予防が必要です。
 一方、避難所の外では…

堀内キャスター
「避難者の食事を、こちらの大きなキッチンカーの中で調理しています」

 真冬には、配給する食べ物が凍ってしまうなど、食事の問題も深刻となります。
 停電の中、有効なのがキッチンカー。夕食は、レトルトの牛丼が簡単なアレンジを加えて出されました。

伊藤浩二シェフ
「寒いのでとろみがついたほうがいい。冷めづらい」

 体が温まるよう、ショウガやジャガイモ、北見市のタマネギなどを加え、仕上げました。

体験者
「体もあたたまって食事プラス気分的にもほっとする」

堀内キャスター
「午後9時です。気温はマイナス12℃、寒くなってきました。雪道で立ち往生して、車の中で過ごすという想定で、皆さん体験しています」

 体験する時間は1時間。私にとっても、これが一番厳しい体験でした。

スタッフ
「大丈夫ですか?」

 21日、22日と、日本赤十字北海道看護大学で行われた「厳冬期災害演習」です。暴風雪の中、車が立ち往生した想定で、私も1時間、車の中で過ごす体験をしました。

堀内キャスター
「車の中にいるだけで、足元から、下半身がどんどん冷えて行くという実感があります」

 車のエンジンをかけたまま、車内で過ごすと、降り積もる雪でマフラーが埋もれて、一酸化炭素中毒になるおそれがあります。
 寒さ対策をしっかりして、エンジンを切ることが大事だといいます。

体験者
「最後のほう鼻から息をしたら、(鼻が)くっつくレベルだったので、マイナス10℃は下回っている」

 車の中では、エコノミークラス症候群や低体温症にも、注意しなければなりません。
 水分補給やトイレ、そしてマッサージなど、適度な運動も大切になってきます。

 停電の中、効率よく暖を取るアイディアとして、雪を集めてお湯を沸かし、足湯を作る方法があります。
 ビニールで覆った段ボール箱に、ビニールをはいた足を入れ、沸かしたお湯をかければ「濡れない足湯」となります。

男性2人
「ワー、いいしょ、いいしょこれ」

 低体温症を防ぐために、汗をかかない、濡れないことも、大切なポイントです。

堀内キャスター
「これはあったかいですね」

 テントの中では、ストーブの上に置いた石に、水をかけて蒸気を発生させる即席の「ロウリュ」も。冷え込んだ体の、血流を促進させる効果があります。
 暑すぎると汗をかいてしまうので、40℃以上にならないようにします。

日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏 教授
「これはまきです。まきだけでストーブになるが、石を焼くという、フィンランドの文化」

 寒冷地にある北ヨーロッパの知恵も取り入れ、命を守ろうとしています。

 避難所での長く寒い夜が、明けました。私にとっては初めて寝袋の中で、冬の一夜を過ごした体験でした。

堀内キャスター
「枕が無かったので、首が痛くて2時間に1回、目が覚めてしまいました」

 コロナ禍で、3年ぶりの開催となった、厳冬期の災害演習。道内では、日本海溝・千島海溝沿いで、巨大地震の発生が「切迫している」と指摘されていて、避難所の備えや課題の洗い出しは、待ったなしの状況です。

日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏 教授
「避難生活を考えると、これが冬となった場合には、ここはしっかり学ばないと、間違った行動で、命を失うということが起こると思います」


1月23日(月)「今日ドキッ!」午後6時台