静岡市の駿府城公園の近く、北街道沿いにある「シリケカフェ」。店の前に飾られているのは、ノルウェーの国旗。店内には、日本では珍しいパンが並んでいます。


<シリケカフェ バーケリ 永井匠さん>
「日本のパンは菓子パンが多い。僕も子どもの頃から食べているのは、あんぱん、クリームやチョコがいっぱいかかったパンが大好きで食べていたのですけど。あれがパンだと思ったら、向こうに行ったら全然違った。もっと硬くて歯ごたえがあって、体が喜ぶ感じがする」

「シリケカフェ」では北欧のパンを楽しむことができます。「北欧のパン」は栄養価が高く、消化吸収がゆっくりで身体への負担も少ないと言われています。パンが主食のノルウェーでは、白い柔らかなパンより、全粒粉やひまわりなどの種をいっぱい入れたずっしりとした茶色のパンが好まれます。

1日に30種類、200個のパンを焼き上げる永井匠さん。最もこだわっているのは「原料」です。

<永井さん>
「ふわふわの日本のパンと違って、もちもち、歯ごたえのある粉の方がよい」

小麦やライ麦は長野県産。トッピングに使うひまわりやかぼちゃの種など、パンの原料はほとんどがオーガニック素材です。


店の一番人気は、「オーガニックシナモンロール」。ひと味ちがうヨーロッパのおやつパンです。オリーブの実を生地に練りこんだ「オリーブンブロー」。有機ローズマリーと岩塩をトッピングしています。


また、パンと共に人気なのが、妻の美香子さん特製のスープです。週ごとに替わるスープですが、有機野菜をふんだんに使うことは決めているそうです。


<客>
「ここのパンはおいしすぎる。噛むとジュワ~とうまみが出てきて、エネルギーが満ちてくる感じがする」

永井さん夫婦が北欧パンと出会ったきっかけ。それは、元看護士の美香子さんが福祉の仕事でノルウェーに渡った際、匠さんが「パンの師匠」と呼ぶ人物に出会ったことでした。

<シリケカフェ バーケリ 永井美香子さん>
「(ノルウェーに)1年4か月住んでいた。師匠の焼くパンが美味しくて、ただただ毎日感動していた。特に彼(匠さん)は。私はごはん党だったので(笑)」


日本では車いすの販売を仕事にしていた匠さんですが、ノルウェーで「ベーカリーアシスタント」として働いた事がきっかけで、北欧パンの魅力に取りつかれ、帰国後、自分の店を出しました。

<シリケカフェ バーケリ 永井匠さん>
「本当に美味しいと思った。ライ麦のパンは酸っぱくて食べられないと思っていたが、すごく美味しかった」

「シリケカフェ」のパン、ノルウェーの五輪代表選手も食べたんです。


<シリケカフェ バーケリ 永井匠さん>
「東京五輪でノルウェーのゴルフチームにパンを提供した。ノルウェーのパンを焼いているのを実感した。うれしかった」

<美香子さん>
「ほっと一息、おなかの中から元気が湧いてきたみたいな場所になったらいいな」

<シリケカフェ バーケリ 永井匠さん・美香子さん>
「体が喜ぶノルウェーのパンをよろしくお願いします」