2024年に女性として初めて検察官のトップ、検事総長となった畝本直美氏がきょう、退任会見を行い、今後の検察について、「直面する様々な課題に正面から対峙し、変化する時代や社会に対応し、国民が検察に寄せる期待に応えていってほしい」と述べました。

畝本直美氏
「良き伝統は守りつつ、直面する様々な課題に正面から対峙し、変化する時代や社会に対応し、国民が検察に寄せる期待に応えていってくれるものと確信しています」

1988年に任官した畝本直美氏(64)は、法務省保護局長や広島高検検事長、東京高検検事長を歴任し、2024年7月に女性として初めて検察官のトップ、検事総長に就任しました。

任期中の2年間には、自民党と日本維新の会の参議院議員が勤務実態のない公設秘書給与をだまし取った事件などを指揮した一方、相次いで発覚した東京と大阪の特捜部検察官による不当な取り調べ問題や、東京地検特捜部の検察官だった男性が事件関係者と不適切な交際をしていた問題など、不祥事への対応が続きました。

きょうの退任会見で記者から「在任期間中に力を入れたこと」を問われた畝本氏は「取り調べの適正化」と答え、「幹部による問題点のあぶり出しや、その対策を協議する会を開き、適正で有効な取り調べのあり方を考え続けてきた。真実を追求するということと、そのやり方が公正で誠実なものであることは、両立させないといけない。そうした価値観を徹底させていくことが一番大事だ」と述べました。

一方、検察官の倫理やモラルに関する問題については、「求められるモラルを一人ひとりに意識づけをしていく必要があり、事案が発生した場合には適正かつ厳正な処分をして、具体的な再発防止策を取ることが大事だ。こういう対策は非常に地道なもので、坂道を上るトロッコのように常に押し続けていかないと、ずるずると下がってしまう。継続的にやることが大事だと思う」と話しました。

畝本氏をめぐっては、1966年に起きた静岡県一家4人殺害事件の再審で控訴断念時に出した談話が名誉毀損にあたるとして、無罪が確定した袴田巌さんの弁護団が国に賠償などを求める訴訟を起こしています。

この訴訟について問われた畝本氏は、「控訴断念にいたる判断プロセスを示したもので、決して袴田さんを犯人視したものではない」としました。

後任には、前東京高検検事長の川原隆司氏(61)が就任します。