「お兄さんの償いのためにも、これからどうすれば、どうすれば、どうすれば…」

兄を思い、法廷で声をふるわせる24歳の被告。「お兄さんにも思うところはあったはず」。審判を前に後悔をにじませた。
髙畠春樹被告は、22歳だった2020年11月、富山市の実家で当時25歳の兄・丈治さんの頭をハンマーで何度も殴り、殺害した。統合失調症と自閉症スペクトラム・ASDを患い、時には暴れて手がつけられず、入退院を繰り返す兄だった。

コミュニケーションが苦手で、こだわりを強く持つなどの特性があるASD。幼い頃から兄弟間でトラブルが絶えず、髙畠被告は「兄は障害者、自分は健常」と考えていたというが、事件後の鑑定で初めて、自身もASDと診断された。小中学校でも人間関係がうまくいかず、いじめに遭っていたという髙畠被告。ASDと聞いて、法廷で「腑に落ちた」と口にした。そして12日の被告人質問で、こう語った。