ロシアの侵攻が続くウクライナから日本に避難しているバレエ講師の女性が、1月14、15日、平川市で青森県内の新体操選手にバレエを指導しました。熱心な指導の様子、また故郷を離れたその思いを取材しました。

14、15の両日、平川市で開かれた新体操選手のためのレッスンには、選手と指導者合わせて51人が参加しました。バレエの講師はウクライナから避難してきたバレリア・ツジさんです。

バレリアさんは、故郷のウクライナで新体操やフィギュアスケートの選手にバレエを指導していましたが、ロシアのウクライナ侵攻後、東京女子体育大学の秋山エリカ教授の誘いで日本に避難し、現在は大学生の新体操選手にバレエを指導しています。以前、熊本でバレエを教えたことがあり、日本語が話せます。


侵攻が始まった当初はウクライナにいたバレリアさん。避難は苦渋の決断でした。



※バレリア・ツジさん
「危ないから。子どもがまだ10か月だから、もう逃げるしかない。お父さんは絶対どこにも行けないと。お父さんは75歳だから気持ちはわかる。心配なんですけどお父さんは私の人生はここだから私をここに残してくださいと。それで私たちは車に乗って…」

ウクライナに残る父親のことが頭から離れる日はありません。それでも、日本で子どもたちにバレエを教えるのはとても楽しいといいます。

※バレリア・ツジさん
「日本の子どもは賢い。できなくても頑張るね。やるやる一所懸命やる。その気持ちがすごく大事だと思う。だからいい。やりやすい」



※レッスンを受けた選手
「普段あまりやらない重心の位置とかバレエと新体操の手の位置の違いがわかったのでよかったです」

祖国からの避難という大変な経験をしたバレリアさんには、選手たちに伝えたい思いがあります。

※バレリア・ツジさん
「明日何があるかわからない。私たちが決められることじゃない。周りの世界には時々あることだから毎日が大事。感謝の気持ちで一日を過ごしてください」

そして選手にも、こんな思いが生まれていました。

※レッスンを受けた選手
「私は十分な時間をもらって新体操をこの場所を借りて楽しくできていることがわかったので、大切に時間をつかっていこうと思いました」

参加した選手たちはバレリアさんから、バレエの技術以上のものを学んだようです。