神田伯山の鬼気迫る語りで「ヒヤッ」 幽霊は演芸の世界で生き生きと

夏の寄席では怪談話に人気が集まります

日本の幽霊のルーツも、お盆という東アジア共通の文化でした。ただ、日本にはもう一つ独自の発明があります。死者の季節を、「怖がって楽しむ娯楽」に変えたことです。

1825年、江戸・中村座で『東海道四谷怪談』が初演され、大人気となります。当時怪談は夏芝居の定番だったということです。背筋が寒くなる話で暑さを忘れる―。エアコンのない時代の粋な避暑法だったのかもしれません。ちなみに初演日7月26日は「幽霊の日」とされています。

その怪談を、今度は耳で楽しむ芸へ育てたのが落語と講談です。落語家・三遊亭圓朝は『怪談牡丹燈籠』や『真景累ヶ淵』を生み出しました。『牡丹燈籠』では、お露が下駄の音だけを響かせて夜道を近づいてきます。姿よりも音で恐怖を描くのは、語り芸ならではの工夫でした。

この伝統は令和の日本に引き継がれています。日本一チケットが取りにくい講談師といわれる神田伯山は、夏の定席興行の高座で怪談話をかけ、観客を魅了しています。