滋賀県の病院で死亡した患者への殺人罪で服役し、その後、やり直しの裁判で無罪となった元・看護助手の女性が国(検察)の責任を認めなかった控訴審判決を不服として、7日、最高裁に上告しました。
滋賀県東近江市の湖東記念病院で看護助手として働いていた西山美香さん(46)は、2003年に入院患者を殺害したとして懲役12年の実刑判決を受け、服役後の再審で無罪が確定しました。
その後、西山さんは、国と滋賀県に損害賠償を求めて提訴。去年7月、一審の大津地裁は県(警察)に約3100万円の支払いを命じた一方で、検察の違法性は認めず、国(検察)への請求を退けたことから西山さんが控訴していました。
これまでの裁判で西山さん側は「検察官は西山さんの知的障害を把握し、誘導に乗りやすい供述弱者と認識していた」「違法な取り調べを抑制する義務があったのに怠った」などと主張。国側は控訴の棄却を求めていました。
6月25日の判決で、大阪高裁の長谷部幸弥裁判長は「警察官と検察官が法律上一体の関係であるとは認められず、警察の捜査が検察の指揮下でされたとも認められない」としたうえで「検察官が西山さんの軽度知的障害などを推察し得たとはいえない。自白は根幹部分で一貫しているともみえたものと認められ自白が虚偽であることを推察することはできなかった」などとして西山さん側の控訴を棄却。国(検察)の違法性を認めませんでした。
西山美香さんは判決後の会見で「裁判所に対しては少しは違法性を認めてくれるかなと思って期待していたところがあったが、負けてしまって悔しい気持ちでいっぱいです。上告して最高裁でどうなるかわからないですけど、終わるまではしっかり闘いたいと思います」と話し、判決を不服として上告する考えを明らかにしていましたが、7日、最高裁に上告しました。
井戸謙一弁護団長は上告にあたって次のようにコメントを発表しました。
「湖東事件の再審無罪判決に至る一連の経緯は、滋賀県警が『供述弱者』である西山美香さんをマインドコントロール状態において思うがままの供述をさせたこと、検察官がこれを知り、あるいは知り得たのに是正することなく美香さんを起訴し、裁判所をして有罪判決をさせたという構造を明らかにした。」
「過去のえん罪被害者の中にも供述弱者は少なくない。湖東事件は、供述弱者を冤罪に巻き込まないための仕組みと配慮を捜査機関に厳しく求めている。」
「検察官は、公益の代表者として、警察の違法行為をチェックし、被疑者・被告人の人権に配慮して、自らの権限を適正に行使しなければならない。裁判所が検察官に対して厳しい目を持たなければえん罪被害者を根絶することはできない」
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