SNSを操る「農場」 衆議院選では選挙関連依頼も

「SNSの加速器」だという「農場」。男性がホワイトボードに描いたのは、その概略図だ。

これを基に、取材を重ねCGで再現した。

電波などを遮断する二重扉のシールドルーム内に、実際の農場のように60のラックが並んでいるという。

一つのラックには144個のボックスが並び、ボックスの中には12枚のスマホの基板がある。さらに、基板を冷却するためにパイプから特殊な冷却液が供給されているという。

シールドルーム内にある基板は約10万枚。同様の施設が茨城県内に4つあり、かかった費用は数十億円規模だとしている。

依頼内容に応じて、「いいね」や動画の再生回数などを増やしているという。

――年間何件の依頼があるんですか?

「農場」関係者(18)

「数千万から数億件です。じゃんじゃん来てると。売り上げは非公開なんです。支払いがドルとか仮想通貨とかありますから。利益はだいたい45億円くらいかな、年間」

依頼の多くは、海外のサイトやダークウェブなど様々なルートで届き、そのほとんどをプログラムが自動で対応しているという。

2026年の衆院選では、候補者の陣営から「投稿が多くの人に高く評価されている」と見せかける依頼が複数来ていたと話す。しかし、法律に違反する可能性などを考慮し、選挙関連とみられる依頼は、AIなどを使って「弾く」ようにしたという。

「農場」関係者(18)
「全部見るのは不可能で、ランダムでチェックしています。万が一見つかった場合は、キャンセル扱い、返金もせずという対応をしています」

依頼内容によっては、誹謗中傷やデマの拡散に加担している可能性もあることになる。

――社会を歪めている感じはしませんか?

「農場」関係者(18)

「多少なりあると思いますけど、でもそれは結果論であって、それを防ぐのは何かと言ったら、規制するとか、プラットフォームの責任。責任転嫁になりますけど」

「農場」を使った「いいね」などSNS数値の操作。主要なプラットフォームを取材すると、削除などの対応を行っていると回答した。

SNS空間は、人為的に操作されている可能性を前提にする必要があると東京大学大学院の鳥海教授は指摘する。

――選挙期間中にこういったことが行われると、非常に大きな影響力を持ってしまう

東京大学大学院 工学系研究科 鳥海不二夫 教授

「『今の時代はそういう選挙戦になっている』という認識をまず持つべき。今見ている情報が、誰がどうやって作って、なぜ自分の手元に来ているのか、ちゃんと理解しないで利用するのはリスクがある」