10年で1.6倍に…農家を苦しめる「重油高騰」の壁
父から農家を引き継ぎ14年が経つ今、宮下さんが直面した大きな課題があります。それは、膨大なハウスの暖房費用。ハウスの環境を維持するための重油の価格でした。

宮下清次郎さん:
「令和6年11月から令和7年4月まで。620万くらいかかってます。燃料だけ。重油は固定費、必ずいるものなんだという考えでいたと思うんですけど、どうにかしていかないと。」

近年は、中東情勢の影響などもあり重油価格はさらに高騰しました。
宮下農園によると、重油取引価格は2015年は1リットルあたり66円だったのに対し、2025年は111円と10年で1.6倍以上に増加しました。
■未利用木材を活用した「宮下式冷暖房システム」
宮下さんが目をつけたのは、地域の解体業者から出る、処分に費用がかかる「未利用木材(薪)」でした。これを受け入れて有効活用すべく、重油に頼らずハウスを温める「宮下式冷暖房システム」を開発したのです。
宮下清次郎さん:
「産廃費用とかどうしてもかかってくると思うので、そういうのをうちが宮下農園で受け入れて薪ボイラーに有効活用するっていうことで」
まずは、薪を燃やすところから始まります。

宮下清次郎さん:
「これはですね、まず薪を投入してちょっと閉めますね、この中に水が入ってますので、簡単に言うと、薪で燃やした熱をこの水を温めてお湯にするって感じです。一定の温度になると、自動でモーターが動くので、このタンクの中に入るという仕組みになってます」
薪を燃やした熱で10トンの温水を作り、その温水の熱を使って、温風を作るシステムです。

宮下清次郎さん:
「この管を通ってファンコイル、この機械にお湯がいきます。スイッチを入れると風が動き出します。その風で熱いお湯の熱をとって温風が出てきます。その温風をハウスの中に行き渡らせます。」
「宮下農園」では、冬場はハウス内の温度が10度を下回らないよう管理しています。温水が冷えた場合は、従来通り重油を使用しハウス内を温めます。このシステムを利用し、重油の使用量を減らすことに成功しました。

宮下清次郎さん:
「2月の合計10アール当たりになるんですけど、1500L使ったハウス、薪ボイラーを使ったハウスになると266Lしか使ってない」
このシステムにより、重油使用量を82.2%削減しました。農業者だからこそわかる課題に向き合い、未来の農業を切り拓く── 宮下さんは、さらなるシステムの構築を目指しています。

宮下清次郎さん:
「悩んでいる農業者の方にも、一つの選択肢というか明るい話題になればいいかなと思ってます。これはまだ完成ではないので、これからどんどん僕もデータを蓄積していって進化させていきたい。ゆくゆくは重油を使わないシステムを構築できればいいかなと」
■特許出願中、夏は「地中熱」で冷房も
実は、このシステムは冷房にも対応しています。暖房は薪ボイラーでしたが、冷房は地中熱。土の中の冷たい温度を利用して、冷風を作る仕組みです。これにより、夏場の冷房費も抑えることが期待されています。宮下農園ではこのシステムの特許を出願中で、すでに噂を聞きつけた農業者から問い合わせが寄せられているということです。
農業者の課題解決につながる仕組みを、子や孫の世代へ受け継いでいきたい。持続可能な農業を目指す宮下農園の挑戦が始まっています。














