「めっちゃ食ってるじゃん」
「ひどくなってますね。もうないです、そこ」

稲葉達也(いなば たつや)さん44歳。農業を本業とするかたわら「農家ハンター」として、野生動物による農作物被害を防ぐ活動を熊本県内各地で行っています。

野生動物による被害額は、昔からイノシシが不動の1位。しかし、稲葉さんが今、最も危機感を持っているのは全く別の動物です。

農家ハンター 稲葉 達也さん「本当にカモが最近ひどくなっている」

毎年 冬になると大陸から海を渡ってきて、カワイイ姿を見せてくれるカモ。しかし、県の最新の調査では、カモの農業被害額がおよそ1億8千万円とイノシシの被害に並ぶ勢い。10年前と比べると、およそ40倍にも増加しているのです。

県内でも被害額が最も大きいのが、海沿いに広大な農地が広がる八代市です。

八代市農業振興課 野田 良晴 課長補佐「2016年ぐらいから被害額が増えだして、2019年からは毎年約1億円。以前は鹿・猪あたりの被害がずっと出ていたが、近年は鳥の方がはるかに大きい」

そのカモの被害が本格化し始めたと聞き、JAやつしろを訪れた稲葉さん。そこで目にしたのは、八代市の農家が撮影した1本の動画でした。そこには、無数のカモが飛んでいる映像が…

この動画を撮影したのは、八代市の野菜農家・石田 彰(いしだ しょう)さんです。

野菜農家 石田 彰さん「7~8年前から被害はあっていたんですけど、そこまで収穫量に影響が出るような被害では今までなかった。最近は全く採れないほどの被害が出るようになったので。ひと晩で60アール(テニスコート約23面分の広さ!)を1日で食べられたという話も聞きます。