熊本市中心部の夜の景色が変わっています。夕方、空を見上げるとカラスの大群が見られます。熊本市が始めた対策からまもなく1か月、その効果を取材しました。


「(カラスが)めちゃくちゃいる」
「今おる?」
「はい。めちゃくちゃいます」
「あーほんとだほんとだ」


「結構多くてびっくりしますね」


熊本市中心部で、問題となっているのが中国大陸から越冬のためにやってくる「ミヤマガラス」です。


フンなどの被害を減らそうと、熊本市が花畑公園など市内4か所で12月14日から始めた対策が「だまくらカラス」(熊本弁では何かをだますことを『だまくらかす』と言う)警戒音が鳴ると、木にとまっていた多くのカラスが飛び去っていきました。


熊本市 鳥獣対策室 清野 陽介 室長
「山とか郊外の方に飛んでいってもらって、そちらの方でねぐらを戻すというところで、こういう被害が収まるということを目標に」


この実証試験としての対策が始まってまもなく1か月。花畑公園の様子はどうなっているのでしょうか?


沖村 考祐 アナウンサー
「音が出るスピーカー付近には鳥のフンはなく、効果が出ているのではないでしょうか」

しかし…

沖村アナウンサー
「緑の中にある所々白い部分、これは雪が積もっているわけではありません。
鳥のフンです。さらに人が触るであろうスロープの手すりや足元まで鳥のフンがついています」

スピーカーからやや離れた場所では、ややフンが目立っていました。


こちらも実証試験が行われている城見町(しろみちょう)通り。フンはまだ落ちています。そして、取材していると気になる話が。


沖村アナウンサー
「実証試験が始まって以来、カラスの動きにも変化があるようです」

こちらは城見町通りからおよそ200メートル離れた駕町(かごまち)通り。


駕町通り商店街振興組合 林 健一 事務局長
「最近駕町通りにもカラスが増えました」


賢いカラスたちは、実証試験で使われる嫌いな音が聞こえない場所へ わずかな距離ですが移動しているようです。


林 事務局長
「カラスは違う所に行ってしまうんでしょうね。被害が及ぶ地域が(新たに)出てきてしまうのでは」


もはや、人間とカラスのいたちごっこになり始めている様相。

音でカラスを寄せ付けない「だまくらカラス」の実証試験は3月中旬まで。これから国内外の観光客を呼びこみたい熊本市、キレイな街並みで受け入れることはできるのでしょうか。


対策を講じている熊本市鳥獣対策室の清野室長によりますと…
カラスに対抗して警戒音は4種類、3日ごとにローテーションで使っているそうで、手ごたえとしては開始から1か月で、12月より少なくなったとのこと。
カラスが避けているということに関しては、場所を変更する可能性も十分あるということです。

フン以外にも、ごみを漁るという被害も心配…という声もありますが、ミヤマガラスの習性としてゴミを漁ることはほとんどなく、畑にいる虫などを好んで食べているようです。

ただ、ミヤマガラスの生態系には謎の部分も多く、闘いは続きそうです。