太平洋だけでなくインド洋の海水温にも注目

それから、2023年の夏はもう一つ別の現象も発生していました。それが「正のインド洋ダイポールモード現象」です。これはインド洋熱帯域の海面水温が西部で平年より高く、南東部の海面水温が平年より低くなる現象のことです。逆に西部で平年より低く、南東部で平年より高くなる現象のことを「負のダイポールモード現象」と言い、「正」「負」ともに数年に一度発生します。「負のダイポールモード現象」が起きた時の日本の天候には明瞭な特徴がないものの、「正のダイポールモード現象」が起きた時の夏の平均気温は、北日本、沖縄・奄美で「並か高い傾向」があり、東日本や西日本でも低い年は少なくなっています(1948年~2021年の統計)。

正のインド洋ダイポールモード現象発生時の夏の平均気温(1948年~2021年の統計)。サンプルが少ないが、暑くなる傾向がみられる(気象庁HPより)

2023年の夏から秋にかけても正のインド洋ダイポールモード現象が発生し、日本列島は記録的な猛暑となりました。正のインド洋ダイポールモード現象が起きると、
ベンガル湾(インドの東側)からフィリピンの東海上でモンスーン(=西風)が強化される→モンスーンが太平洋高気圧の南側を吹く貿易風(=東風)とぶつかり、北太平洋西部で積乱雲(=上昇気流)の活動が活発になる
→その北側のチベット高気圧(下降気流)の張り出しが強まり日本付近は猛暑になる
という傾向があります。

正のインド洋ダイポールモード現象発生時の大気の流れの特徴。日本付近に西から張り出すチベット高気圧を強め猛暑をもたらす傾向がある(気象庁HPより)