地域の医療格差を防ぐために進められる病院間の機能集約と分担

名寄市 加藤剛士市長
「生まれた地域によって医療の格差、命の格差があってはならないのだろうと思いますので、そこは公立病院の役割であり、使命であると考えています」

そこで選んだのは、隣町である北海道士別市の士別市立病院との機能集約です。救命救急や周産期医療などの『高度医療』が必要な患者は、三次医療圏の拠点である名寄市立総合病院が担当します。士別市立病院は、リハビリなどといった『回復期』などの患者を中心に担います。共倒れしないための取り組みです。

名寄市立総合病院と士別市立病院の機能集約・連携を示す図
名寄市立総合病院と士別市立病院の役割分担

名寄市 和泉裕 病院事業管理者
「高度医療というか、非常に急性期の手がかかる、いろいろな医療の安全に関わる、いろいろな医療機器が必要、医療従事者が必要というものは、人手も物もすごくかかるわけです」「慢性期、自分の家には帰れないけれど、少し療養が必要っていう場合は、診療密度が非常に少ないわけです。そうすると、医療従事者は少なくて済む。だから、そこを分担するということなんですよ」

士別市立病院から搬送されてきた患者

取材中、名寄市立総合病院の救命救急センターに、士別市立病院から患者が運ばれてきました。腎臓内の炎症悪化で、より高度な治療が必要と判断されたのです。

名寄市立総合病院 救急科 鮎田真佳医師
「辛そうだった患者さんが、元気に“よくなった”と言って退院されたときは、すごくうれしいです」

暮らしている場所によって命を諦めることがあってはならない。医療体制が縮小する中、生き残りをかけた公立病院の模索が続いています。

地域の医療機関が役割を分けることで、薬や医療機器の共同購入など、公立病院にとって経営的な負担軽減にもつながります。同じような取り組みは、オホーツクなどほかの地域でも始まっています。

北海道上川地方の北部では、3つの病院が連携し、診療内容が重複しないよう分担を進めています。

スタジオ解説ボード

6月1日、医療機関の大きな収入源である診療報酬が改定され、12年ぶりに引き上げられました。ただ、引き上げ幅は約3%にとどまり、病院の経営がすぐに立ち直る水準ではありません。

地方で働く医療従事者の育成や、若い人材を確保する環境の維持も課題となっています。医療格差を生じさせないため、公立病院の現場では模索が続いています。

日本最北の救命救急センター(6月5日・北海道名寄市)