卵から完全に人の手で育てた、いわゆる「完全養殖ウナギ」があすから試験的に販売されます。一般販売は世界で初めてとなります。
ふっくらと「関東風」に焼きあがったウナギのかば焼き。一見すると、おなじみのウナギに見えますが、実は、卵から完全に人の手で育てた「完全養殖ウナギ」です。
天然のウナギとの味の違いは…
記者
「ふわふわしていて、とても脂がのっていて、普段、ごちそうとして食べるウナギと同じくらいおいしいです」
見た目も、味も変わりません。この「完全養殖ウナギ」があすから世界で初めて試験的に販売されます。
普段、私たちが食べているウナギは、天然の稚魚「シラスウナギ」をとって育てたものです。しかし、その漁獲量はピークから9割ほど激減していて、絶滅のおそれがあると指摘されています。
「完全養殖」は、卵を人の手で育ててふ化させ、シラスウナギ、そして親ウナギへ。その親がまた卵を産むことで、さらに次の世代につながります。
天然のシラスウナギに頼らない「夢のウナギ」。これが、絶滅の危機の救世主として期待されているのです。
イオン 土谷美津子 副社長
「日本人が大切にしてきた食文化を未来に伝えていくという、バトンを渡す義務が私達はあると思います。完全養殖というのは、それを私達に見せてくれたバトンだと思っています」
「完全養殖」の技術は、およそ30年前から国によって研究されてきました。
水産研究・教育機構 風藤行紀さん
「これがウナギの卵、ふ化する前の。いま『プルっと』動きましたよね」
実用化のネックとなっていたのが、生産コストです。
水槽の中で動き回る細長い、透明なウナギの赤ちゃん。もともとはサメの卵からできる希少で高価なエサを使い、人の手で育てていたため、莫大な費用がかかっていました。
水産研究・教育機構 高崎竜太朗さん
「初めてできたのは、20年ほど前。1匹、数十万~数百万かかっていたと思う」
研究を重ね、エサを安くすることなどに成功。
この技術を使って養殖を行ったのが、大分県の水産会社。次々に流れてくるのは、完全養殖のウナギの蒲焼きです。こちらでは2022年度から水産研究・教育機構の技術指導を受け、完全養殖に着手。年間1万尾以上の人工シラスウナギの生産に成功しました。
いまでは1尾あたりの生産コストを1800円程度にまで抑えられるようになりました。
山田水産 山田信太郎 社長
「打ち上げ花火で終わらしちゃいけないなと。試験販売だけで終わってはいけない、最後まで完成させないといけない」
いまは「試験販売」ですが、2028年には10万尾の生産を目指すとしています。
私たちの食卓の選択肢のひとつとなりつつある“未来のウナギ”。1尾あたり4860円で、あすから販売が始まります。
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