■感染拡大で解熱剤不足も
こういったことを行っている中で、地域によっては薬が足りないということです。12月、内モンゴル自治区では、解熱剤が手に入らないため、両親が子どもに動物用の解熱剤を服用させることがあったようです。
現在、一命はとりとめたということですが、厳しい状態が続いていたということ、薬が足りないという状況は変わっていません。
ホラン千秋キャスター:
寺島さん、それだけ中国国内では大変な状況なのだと思いますが、日本でも新型コロナウイルスの分類をどう考えていくかが引き続き議論されている段階だと思います。中国での感染症の扱いの変更については、何か感じる部分ありますでしょうか?
東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋毅医師:
いつまでもゼロコロナというわけにはいかないと思いますけれども、やはり変更が急すぎて、ウィズコロナという状況に国民も国もまだ追いついてない状況だと思います。
1つは、国民は「ウィズ」ということになると、ある程度増えると社会で減らそうとか基本的な感染対策が必要なんですけど、あまりそれに国民がまだ慣れていないということ。また、特に多くの国は感染が増えたら対策をして、少し緩和して、少し感染が増えたらベッドを増やすと徐々に慣れてきたり、医療提供体制を調整してきたのが、中国は今急に増えすぎて、コントロールするのが少し難しくなっているのが状況かなと思います。
ホランキャスター:
星さん、減っているときに分類を下げていきましょうよというところに対応するのは可能かもしれませんが、おそらく急激に増えているであろうというところで、分類を下げることによって、かなり現場が混乱することは容易に想像がつきますよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
前提として、情報公開が十分じゃないですよね。何人くらい感染しているのか、何人くらい亡くなっているのかがかなりいい加減というか、WHOの基準からずれてますしね。
そうなると、どういう対策をとってるのかは外から見えませんよね。ですから、その辺からまずやってもらわなきゃいけないので、今、寺島先生が言っていたように、大体増えたり減ったりする中で強くしたり緩めたりしていくのですが、一気に政治的な理由で解除してますから、そういう意味では逆に言うと政治的な理由で元に戻せなくなっているのが現状だと思いますね。
井上キャスター:
寺島さんがおっしゃってたように、急激な変化に対応できてないことは1つあると思いますけど、世界的にはインフルエンザと同等にしていこうという流れで、中国も一応その流れとも見えると思いますが、これは急激に変えたことで、医療体制が脆弱だというところも浮き彫りになったわけですか?
東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋医師:
どのくらい感染が増えたらどのぐらい病床が必要という想定をしてたのか、想定以上の状況が起きているということ。それから国民のいろんな構造とかで、どのくらいその感染が抑えられるかという目処がはっきりしないまま、変更したという状況かなと思います。
■死者数“実態より減少”か 著名人相次ぎ死去

井上キャスター:
その想定が甘かったのかもしれないというところ、情報が上がってきませんのでよくわからない。9日もお伝えしましたが、中国では死亡者数は連日ひと桁台ということで、公式な発表はなされています。
SNS上を調べますと、上海の病院に勤務する医師から「死因を『新型コロナウイルス』と書いたが、病院側から死因の書き換えを依頼された」というようなつぶやきがありました。この辺りの真偽がよくわかりません。加えて、国内トップの科学技術アカデミーに所属する科学者16人が死亡したとBBCは伝えています。
その他にも俳優さん、脚本家などが相次いで亡くなっています。死因が公開されていませんので、これが新型コロナウイルスなのかも含めてよくわかっていないところが多々あります。
そして情報統制。これは前から中国はずっと行っているわけですが、中国版ツイッター「ウェイボ」。感染拡大の不満の声が続々とある中で、感染症専門家らの発言を批判したとして1120アカウントが投稿禁止に、また1万2854件投稿が削除されているといった数字も出ているわけです。
ホランキャスター:
寺島さん、先ほど星さんもお話されていましたけれども、政治的な理由でというところが背景にありますので、感染が拡大して死者が増えたとしても、政治的な理由でそれを認めるわけにはいかない状況が最終的に招きうる事態というのは、どんなことがあると思われますか?
東京歯科大学 市川総合病院 寺嶋医師:
国内においては、必要な医療を受けられずに残念ながら命に関わる人が出てくるということと世界を見ると、1つの国で感染者がすごく多くなると周辺の国であるとか、往来がある国にも波が波及したりとか。あるいは、変異株が生まれてそれが拡散してしまうことが心配だと思います。














