福島県内の除染で出た土などを保管する中間貯蔵施設の問題点について考えてもらおうと、施設が建設されている町の現状を撮影した写真展が、1月9日から福島県いわき市で始まります。

いわき市常磐湯本町の「原子力災害考証館 furusato」では、去年4月から、中間貯蔵施設に関する展示を続けていて、問題展や地権者の思いなどを伝えてきました。

こうした中、原子力災害考証館では、より多くの人に中間貯蔵施設について関心を持ってもらおうと、施設が建設されている大熊町や双葉町の現状などを撮影した写真展を1月9日から始めることになりました。

写真を撮影したのは、原発事故直後から県内で取材を重ねてきたフォトジャーナリストの豊田直巳さんで、去年11月に施設内の土地を取材した際の写真のほか、これまで撮りためた写真も展示されるということです。

提供 豊田直巳さん


『私たちの失ったもの 取り戻したいもの それは本当の笑顔です』と題した今回の写真展について、原子力災害考証館では「変わり果てたふるさとの様子や、豊かな暮らしの喪失を実際目で見て感じていただけるようになっていると思います。中間貯蔵施設や廃炉は難しい問題で、なかなか関心を持ったり理解したりできないかもしれませんが、何が理不尽なのかを伝えることで、少しでも関心を持っていただければ」としています。

提供 豊田直巳さん


初日となる9日は、中間貯蔵施設の地権者で作る「30年中間貯蔵施設地権者会」の門馬好春さんと豊田さんのトークセッションが行われる予定です。

大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設は、2015年に除染土の搬入が始まり、2045年までに県外で最終処分されることが法律で決まっています。環境省は去年12月、福島県外で初めて実証事業を行う計画を明らかにしています。

提供 豊田直巳さん