福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える「老舗物語」。今回は、国産肉を扱い、地域で愛される郡山市の精肉店です。食卓に1品でも多く、おかずが並ぶことを願う、店主の思いを取材しました。

--お客さん「ここの切り落としがおいしいの!ビールのつまみ。ここの肉おいしいって言われて、1ヶ月くらい前に。それから、毎回買いに来てる。」

--お客さん「20年くらい前から来てるね。やっぱり自分の目で確かめて、納得して買うから、
安心感はありますよね。肉買うなら、よそに行っても買わない。大沼で買うって決めてるんです。自分なりにね。」

郡山市芳賀。毎朝、お客さんの表情を思い浮かべながら、精肉加工に勤しむ男性がいます。大沼精肉店、2代目店主の大沼勇夫さんです。

--大沼さん「私のおやじ、先代が方八町に『肉の大沼支店』という形でお店を出したのが昭和33年。『肉の大沼本店』っていうのがですね、私のおじいさんが創業しまして、駅前の方にあったんですけれでも、そのことも考えれば90年くらいには創業なるのかなと思っています。」

2つの店舗で、高品質な国産肉にこだわる大沼精肉店は、長年、地域で愛されてきました。
このうち本店は、建物の老朽化や、跡継ぎがいなかったことなどから閉店し、大沼支店だけが残りました。さらに、大沼さんは、一大決心をします。

実は、旧店舗の近くにあるこの倉庫は、貴重な建造物でした。昭和初期に飢饉対策として、皇室から贈られた資金を元に建てられた『恩賜郷倉』と呼ばれる建物だったのです。

大沼さんは、ここを新たな店舗として、3月下旬に移転オープン。貴重な古い建物の中で大沼精肉店は、新たなスタートを切りました。

--大沼さん「『大沼亭』という定食屋があって、そこで出していたお弁当と大沼肉屋のコラボレーションじゃないですけども、“ほんとはもっとメニューあるんだよ”っていうのを伝えたいんですけど、中々伝わらなかったこともあったので、そのために店舗を移したっていうこともありますね。」

新鮮なお肉はもちろん、注文を受けてから一つ一つ、手作りするお弁当は直営店ならではのリーズナブルな価格で、ボリュームも満点。

薄く切った豚バラ肉を、200グラム使った「しようが焼き弁当(660円)」に、お客さんの声をきっかけに、叔父が営んでいた店の味を再現した自慢の「ソースカツ丼(820円)」。

さらに、ソースなしで食べられる手作りコロッケに、プラスワンでうれしい総菜と、多くのメニューを展開します。

--大沼さん「時代に合わせて変化をさせようってものはないんですが、時代が変えさせたものっていうのはありますよね。肉が売れない時代になってきまして、肉屋だから肉を売るってものじゃなくて、総菜がありきの肉もって感じに移った方がいいのかなって感じで。定番って定番はなかったはずなんですけども、お客さんが“これうまかったから”って言って、もう一回来てくれたメニューが結構ショーケースにあるような。」

お客さんと共に歩んできたからこそ、増えていったメニュー。この角煮もお客さんの『あれ、ないのかい?』の一声で2度目の販売を決めました。

--大沼さん「朝の10時から7時まで受け付ける。昼ごはん・夕ご飯のお手伝い。昔の店舗だとそれできなかったですけども、できるだけ長い時間受付ようっていう感じですね。共働きのお母さんらの手助けにおかずで1品2品あれば、その分時間も取れるんじゃないかと。」

食卓に一品でも、おかずが増えれば・・・。大沼さんの思いはシンプル。『お客さんに喜んでもらいたい…』その一心で、毎日店頭にたくさんの商品を並べます。

--大沼さん「私で終わるっていうことも、1つあったんですが、幸い、甥っ子が肉屋の業界入りしまして、そこにつなげていければなって、それもいいなのかなって・・・。」

時代に変えられたものはたくさんある。それでも歩みを止めず、変化の中で続けることを選びました。

--大沼さん「大沼肉店の牛肉だったり、豚肉だったりを食って、おいしかったから今度、大沼亭で宴会の肉を食ってみよう、逆もありますよね。宴会で食ったお肉を今度は家族に食べさせてあげたいから牛肉切ってくれ。そうゆう風にどんどんなってくれれば、いいですね。」

どんな時代になろうとも、お客さんの笑顔のため
大沼精肉店の挑戦は続きます。

『ステップ』 
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2026年4月23日放送回より)