日本人の男性5人に1人が悩んでいるとされる「薄毛」。これまでの治療は、内服薬や注射など「今ある毛を元気にする」方法が主流でした。しかし今、その常識を覆す研究が進んでいます。理化学研究所出身のチームが発表したのは、髪の毛を作る器官「毛包」そのものを再生させる新技術です。わずか1本の組織から数百本分を増殖させ、脱毛症治療に向けた「次世代の再生医療」への応用が期待されています。

1本の髪の毛から数百本を再生

今回の研究の中心となるのは、髪の毛を生み出す器官である「毛包」の再生です。

毛髪の再生医療研究を進める研究チーム(オーガンテック、理化学研究所など)は、これまでマウスの実験で2種類の幹細胞(皮膚や筋肉を作る細胞)から毛包を再生させることに成功していました。

そして今回、新たにヒトの細胞から「第3の細胞(毛包再生支持細胞)」を発見。

この3種類の細胞を用いて毛包を再生し、人工皮膚で「毛の生え変わり(毛周期)」まで確認。「成体の幹細胞を用いて、生体外で器官を完全に再生した世界初の例」として報告されました。

これにより、患者から採取した1本の毛包から、数十~数百本の毛包を培養して作り出し、再び頭皮へ移植することが可能になります。