ここからは特集です。松岡葵アナウンサーがお伝えします。

▼松岡葵アナウンサー
早速ですが高知に来て3年目の川見さん。『おきゃく』という言葉を聞くと何をイメージしますか?

▼川見真宵アナウンサー
「みんながただただ飲みに集まってきて楽しく酒盛りをするイメージがあります。

▼松岡葵アナウンサー
そのイメージ強いですよね。地元が高知の若い世代でもそう思っている人も少なくないかもしれません。実は『おきゃく』というと、土佐では人を招いて酒盛りをすることを指す言葉ですが、この中には本来、自分たちで料理を用意することも含まれています。

▼藤﨑美希アナウンサー
そうなんですよ、私は昭和生まれで、小さい頃の記憶では祖父がほんとに『おきゃく』が大好きで人を家にたくさん呼んで、飲んで食べてワイワイワイって感じでしたね。

▼松岡葵アナウンサー
酌み交わされるお酒と会話。祝いの席や神祭など、かつて、これが土佐の日常でした。この昔ながらのおきゃくを、3月、有志が集まって再現。皿鉢には地元の郷土料理、土佐の原風景を思わせる懐かしのおきゃくを取材してきました。

高知県香美市香北町。明治に建てられたという屋敷に入ってみると・・・。朝からみなさん、集まっていますねえ。何をやっているんでしょうか。

有志で集まったのは、土佐伝統お座敷文化を守る会のメンバーを中心とした15人。県外から参加している人もいますよ。目的は、土佐の原風景である「昭和のおきゃく」を再現すること。

松岡アナも参加しました!

松岡アナ「がんばります!」

料理も、お膳も、皿も、自分たちでこしらえます。

▼参加者
僕、宮崎におばあちゃん家があって宴会やるんですけど、それと全く違うんですよ。みんなで座を囲むために皿鉢料理があるとか、このしつらえしてるんだっていうのを聞いて、なんか今ちょうどそれこそ街では「土佐のおきゃく」かイベントで「おきゃく」ということを知ってる人たちは多いけど、各家庭にこうやって残ってるんだよってことも同時に伝わるように何か設定できればいいのになと思って。ぜひこれを残せるように、やっぱどうしてもこの数そろえるとか今は無理だと思うんですよね、家の構成も変わってきてると思うし。

松岡アナは巻き寿司に使うジャコを刻んでいました。

▼ディレクター
松岡アナ、包丁握るのいつぶりですか?

▼松岡葵アナウンサー
いや・・・(笑)、あまり聞かないでください。ただリアルに半年かな?

▼松岡葵アナウンサー
なんか楽しくなってきました!

▼参加者
楽しいが料理にはいるんですよ。

▼松岡葵アナウンサー
みなさんの力を借りながら、皆さんの力になれてるような気がします!

主要メンバーの1人、畠中智子(はたけなかともこ)さん。なんとこの場所、智子さんの実家なんです。

▼ディレクター
このお膳とかって全部智子さんの実家のもの?

▼畠中智子さん
そうです。ずっと代々使ってきたお膳です。

▼ディレクター
これ全部ですか?

▼畠中智子さん
全部、借りてきたものはないです。

▼ディレクター
めちゃくちゃ「おきゃく」してたんですね。

▼畠中智子さん
そうでしょうね、すごく「おきゃく」をしてた記憶があります。何か何かご先祖のね、何年祭とかもあるし、それから神祭、お正月、お節句、なんやかんや何かって言うとここで「おきゃく」をしてた記憶があるんですよ。あんなんもう1回やりたいなっていうので。

▼参加者
なんかね、集中して没頭してるとなんかいいですよね。なんか癒されるというか。

▼参加者
たくさんの人で1つのことに集中して。

こちら、何を作っているかわかりますか?

背開きにした鯛に、葉にんにく入りのおからを詰めた後、蒸し上げる。「鯛蒸し」という郷土料理です。

▼ディレクター
味が想像つきづらいですよね。

▼参加者
これね、なんだろうな…素朴な味なんですけれども、なんだろうこの組み合わせじゃないと許せないって感じなんですよ。だっておからで豆腐でタマゴでにんにく葉が入ってて鯛で蒸してますってよくわかんないじゃないですか。でも食べてみると、これじゃないとだめだったんだって思います。

鯛蒸しを作っているところに登場したのは…グルメ雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生(うえのこうせい)さん。「昭和のおきゃく」が再現されると聞いてやってきたんだそう。

▼植野広生さん
今まで体験したことがないものだけども、高知のそれぞれの土地で伝わってきてるものがあるってことはすごいし、それをまた再現する・継承してるっていうことは本当にすごいですね。

ここでちょっぴり休憩!まかないで腹ごしらえです。メニューはこんな感じ。

▼参加者
めっちゃ美味しい!炊きたての米。

▼ディレクター
どうですか、ひと仕事終えた後のごはんは?

▼松岡葵アナウンサー
もう一味も二味も違いますね。この段階でこれだけ美味しいってことはやり切った後の最後の「おきゃく」はもう絶対美味しいので、最後まで頑張りたいと思います。

▼参加者
でも、このあとご馳走があるがですよ…

気合の入った松岡アナ、巻き寿司を巻いていきます!人生初ですって。

皿鉢、刺身、など、どんどんと料理が出来上がっていきます!

鯛蒸しもできあがりました!どんな味なのか気になりますねえ。

▼畠中智子さん
元旦の朝、この作業を1人でやらないかんので…すごい楽(笑)

▼参加者
雇って下さい(笑)

▼畠中智子さん
元旦来て、いつでも

▼参加者
朝から1人でやらないかんき…

▼参加者
みんな1人やもんね

▼畠中智子さん
もう一緒に作る?暮れに

▼参加者
そうしよー!

しつらえが済むと、いよいよ「昭和のおきゃく」のはじまりはじまり。

▼参加者
かんぱーい!

▼参加者(20代)
非日常って言ったらあれかもしれないんですけど、本当にふだん経験できないことを身近に捉えることができるすごくいい文化だなって。これが一昔前だと当たり前だったのが、今じゃもうこんなに体験できないようになってきてるのがすごくもったいないなと余計実感しましたね。

▼ディレクター
飲めない人もすごく楽しんでましたよね。

▼土佐伝統お座敷文化を守る会 竹村昭彦 理事長
だから飲めない人も飲める人も楽しめるのが元々土佐のお座敷文化なんです。「こいつの飲めんき、こんな飲めん奴に飲ます酒もったいないき俺が」言うて奪い取って飲むんです。それがかっこいい。だから、元々土佐には飲めない人に飲ます文化なんかないんですよ。

▼畠中智子さん
しつらえられた「おきゃく」に参加する経験はみなさんすごくおありやと思うけど、皿鉢を一から作ったことがなかったとか、ふだんの暮らしの中での「おきゃく」に参加したことがなかったっていう方がいらっしゃったので。そういう方と私自身が日頃から「うちんくのおきゃくえいろ!」って思いゆうのを共有していただけたことがうれしかったです。

▼畠中智子さん
だから「おきゃく」っていうけど「おきゃく様」じゃないよね。みんな「おきゃく」「おきゃく」って言うけど「仲間」「仲間」ぐらいの感覚でこういう宴会をみんなで作る。だから誰も「おきゃく様」がおらんよね?早片付けて皿洗いう人もおるし。どんどん「食」にかける時間を短くしてくるのが今までの時代やったと思うけど、時間かけてやるそのプロセスが面白いやんって思えるような「食のあり方」をもう1回気付くきっかけにならんかった?

▼松岡葵アナウンサー
なりました!

お酒が飲めなくたっていい。得意なことがなくたっていい。誰もが輝く場所がここにはありました。令和の時代に再現された昭和のおきゃく。じっくりと時間をかけて作られる料理やしつらえ。今でいうアナログの極地、ですが、その世界には現代の人たちが求める温かい「いいね」や「シェア」が満たされていました。