東日本大震災によって「巨大地震」のメカニズムの解明に向けた研究が進められています。

知見の深まりで、太平洋側では将来の地震発生の可能性が数字で示される一方、専門家は確率論ではなく「日々の備え」の徹底を呼びかけます。

津波で甚大な被害をもたらした東日本大震災。
それを引き起こした東北地方太平洋沖地震は三陸沖を震源にしたマグニチュード9.0海溝型の大規模なプレート境界地震でした。

弘前大学大学院の前田拓人 教授は2011年当時は研究者にとっても想定を超えた地震だったとふり返ります。

弘前大学大学院 前田拓人 教授
「そもそも東北地方太平洋沖地震が起こるまで、われわれ地震学者もこんな大きい地震がここで起こると、ほとんどの人は考えていなかった。プレートの境界でどれほど大きい地震が起きるのかという最大は当時では想定外だった」

東日本大震災を経て研究が進んだ一つが、人間が揺れを感じない「スロー地震」との関係性です。

石川県珠洲市周辺では、2020年ごろから群発地震が頻発に起きていましたが、地下深くから上昇してきた水などの流体が原因と考えられています。

京都大学などの研究グループは地殻変動を解析した結果、深さ14~16キロの領域でスロースリップと呼ばれるゆっくりとした断層の滑りを捉えています。

前田教授も、この分野の研究が大きく進んだと話します。

弘前大学大学院 前田拓人 教授
「人間が揺れを感じないような、非常にゆっくりとした地震が数週間から数か月かけて起こるというもので、南海トラフで東北地震より前に見つかっていたが、スロー地震というのが巨大地震の発生に非常に密接に関係しているということが、この15年でよくわかってきた」

国の機関は青森県東方沖で30年以内にマグニチュード7.9程度の地震の発生確率を20~40%としています。

一方で日本海側や内陸は地震の発生頻度が低いため確率を出しづらく、数字にとらわれずに地震に備えることが必要だとしています。

弘前大学大学院 前田拓人 教授
「たとえいつ起こるかが分かったところで、地震そのものがなくなるわけではないので、備えていただく必要があるのは全く変わらない。それがいつ起こるかの確実性がさらにそこに加わったということだけ。地震が起こらなくなるわけではないので、いつ起こっても大丈夫なように。日々の備えをしっかりしていただきたい」