“満額ラッシュ”も…賃上げのジレンマ

小川彩佳キャスター:
中小企業や非正規雇用の方たちに影響が波及するかどうかが課題になってきました。

藤森祥平キャスター:
“満額”と言っていても、ハッピーという感じでお伝えできない微妙な雰囲気ですよね。

小川キャスター:
多くの経営者の皆さんを取材してこられた立場から、賃上げについてはどうご覧になっていますか。

Podcastプロデューサー 野村高文さん:
かつて、経営者の孤独や苦悩について扱う番組を作ったことがあったのですが、そのときに一番、経営者と従業員で意識のずれが大きいのが「給料」の話でした。なぜかというと、経営者は給料上げるときに、一度上げたら下げられないので、割と勇気を持って上げます。

ただ、手取りに関して考えると、実は給料が上がった分だけ、手取りが増えるかというと、
社会保険料や税など負担も増えるということが起きます。年収にもよりますが、例えば、給料が5%上がったとしても、手取りでいうと賃上げをそこまで実感できないことの方が多いようです。

そうすると、給料は上がったけれど、そこまで物価高騰に対応していないという捉え方をされることがあります。ですので、賃上げの話は手取りを増やすこととセットで議論しないとあまり誰もハッピーにならないということになりがちだと思います。

藤森キャスター:
そして、2025年に人手不足で倒産した件数が過去最多427件という数字もあります。何とか人を確保しなければいけないので、無理してでも賃上げをやらなくてはいけません。リスクはどれほどでしょうか。

Podcastプロデューサー 野村高文さん:
人件費というのは完全に固定費で、一度上げたら下げづらいという傾向にあるので、身の丈を超えて給料を上げてしまうと、それは企業業績に直結するというところですね。

ただ、私が取材で伺っている限り本音で言うと経営者の方は、給料を払いたい。しっかりと従業員の方に報いたいということをおっしゃる方が多いです。今回、まさに人手不足で働いてくださる方に魅力を感じて続けてもらうために、上げるという決断をされたのだと思いました。

藤森キャスター:
もう一つ世代別の格差も見えてくるデータがあります。年齢別の月給の伸び率を2020年と2025年を比べたグラフです。2020年当時と比べますと、2025年の20歳から24歳は15.8%アップしており、若い世代は伸び率が高いです。

一方、50~54歳は-1.3%と減っています。いわゆる就職氷河期にあたる世代で若いときに不景気で、成果を出しても給料アップの機会がない、または少なかった。

この差は、またしわ寄せが来ているのではないかということを露骨に感じてしまいます。

Podcastプロデューサー 野村高文さん
やはり表で見るとかなりシビアで、特定の世代の方が不利な状況に置かれています。ですので、所得を根拠にしながら、手当をしていくことが大事だと思います。

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<プロフィール>
野村高文さん

Podcastプロデューサー
Podcast制作会社の代表
経営者への取材多数
外資系ファームでコンサルタントの経験も