寝息を立てて眠っているように見える娘の姿

【角谷美果さん】

角谷さんは娘の手を握り、怒りと悲しみ様々な心境が込み上げたといいます。

(角谷武美さん)
「拳を固く握って、『なんで死んだんや』とどんどん怒りも湧いてきました。とにかく胸が張り裂けるような気持ちになっていたのは間違いないです。今こうして話をしていてもそのときの様子が頭に浮かんできます。開いた袋からはきれいな顔で本当に寝息を立てて眠っているように見える美果がいました」

「もう少しチャックを下げてみましたが、外からは体に少し傷があるだけでほかには何もないように見えました。ぱっと目を開けて『オトン、何泣いとん?』と言ってくれないかと思いました」

「死は人生最大の悲嘆と言われます。自分を取り戻すのに長い時間がかかるそうです。私は自分の親が亡くなったときも大変悲しく、つらかったのを覚えています。しかし今回の事故を経験して、娘の死というものはそれ以上だということを感じました。ある意味、『死ぬ順番が違う』ということだと思います。私の中で死ぬ順番があるからです。しかしその死ぬ順番が違ってしまうと、そのつらさはまったく別の次元の悲しみとなってしまうのです」

「病院での対面のあと、遺体の検査や葬儀の手配など、何をどうしていたのか分からないぐらい次々にいろいろなことがあり、それらをこなさなければなりませんでした」

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そして、なぜ私は大切な家族を守ってやることができなかったのか…、自責の念とともに自身への怒りを今でも感じています。

「どうしようもないことだとは分かってはいるのですが、『あの時、ああしておけばよかった』『こうしておけばよかった』と自分を責める気持ちが今でもあります。何よりこんなことなら若い娘より父親である私のほうが代わりに死ねばよかったのにと思ってしまいます。そんな自分が大嫌いで、自分自身に怒りさえ感じます。