東京・品川までわずか45分…。リニア中央新幹線の長野県駅が設置される飯田市で起工式が行われました。

具体化に向けて期待が高まる一方で、残土置き場が決まらないなど、問題も山積しています。

起工式にはJR東海の金子慎(かねこしん)社長や阿部守一知事、飯田市の佐藤健(さとうたけし)市長などおよそ100人が出席し、工事の安全を祈願しました。


(JR東海・金子慎社長)「リニア関連道路整備や、飯田市が行うリニア駅周辺整備と調整を図りながら、工事の安全、環境の保全、地域の連携を順守して安全第一に工事を進めていきたい」

最高時速はおよそ500キロ、飯田から東京・品川まで45分、名古屋まで25分というリニア中央新幹線。

天竜川の右岸、元善光寺に近い上郷飯沼(かみさと・いいぬま)地区に建設される長野県駅は長さおよそ950メートル、高さは最大で20メートル、ホームは2面で4つの線路が作られる予定です。

駅関連の工事のうち、川の付け替えや橋をつくる作業を今後、先行して行う計画です。

一方、リニア駅周辺の整備を担うのは地元の飯田市。12月3日にイメージを公表しました。

6.5ヘクタールの広さに、バスやタクシーを乗り降りする「交通広場」や500台を収容できる「駐車場」、それにイベントなどで使える「交流広場」を設置します。

見込まれる総事業費はおよそ91億円。

駅までの導線や景観などについて、市は検討段階から住民と話し合いを重ね、計画に反映させました、

(佐藤市長)「(リニア駅は)玄関口になるので地域のある種印象を決める場所になると思うのでそういった意味でこの地域のらしさが出てにぎわいがある魅力的な空間になるようにこれからハードを考えていきたい」

12月初めには、周辺整備に活用するためにリニアのトンネル工事で出た残土の搬入を開始していて、来年度にも整備に着手したい考えです。

一方で、課題も山積しています。

静岡県はトンネル工事による大井川(おおいがわ)の水枯れを懸念して、着工を認めておらず、当初予定の2027年の開業は大幅に遅れる見通しに…。

県内でも同様に、トンネル掘削に伴う水や土砂の処理は大きな課題です。

トンネル工事で出る残土は東京ドーム8個分近くに相当するおよそ975万立方メートル。

そのうち、活用や処分が決まったのはおよそ4割で、残る6割は「関係機関と協議中」としていますが、見切り発車の状態です。

また、駅周辺では一般住宅およそ190世帯が移転対象となってますが、いまもなお、およそ2割が移転交渉を続けています。

(佐藤市長)「しっかりお話を伺いながら具体的な移転をする時期などしっかり寄り添って考えていければと思う」

(JR東海・金子社長)「中央新幹線を新たに作ることで4つの駅を含めて日本経済が大きく発展する契機になるまずはその大きな意義を理解していただきたいと思う」

大都市との距離が飛躍的に縮まり、経済効果や人口の増加などに期待がかかるリニア中央新幹線。

一方で、未解決の問題にどう取り組んでいくのか、建設主体のJR東海には、地元の自治体との連携のほか、住民に寄り添った対応も求められています。