「今はとても反省しています」
法廷に小さな声が響いた。
長年連れ添った妻を殺めたのは、77歳の夫だった。
事件の背景にあったのは、「老老介護」の果ての「悲しき同意」だった。

後を追うことはかなわず

それは2025年3月のことだった。
愛媛県愛南町の道路脇で、77歳の夫が、首にかけたロープを車で引いて、当時84歳だった妻を殺害するという痛ましい事件が発生した。

後を追うつもりだった夫は、その場でウイスキーと睡眠薬を飲み、意識を失った。
心中に失敗したことに気づいたのは、病院のベッドの上だった。

夫は、妻に対する自殺ほう助の容疑で逮捕され、嘱託殺人の罪で起訴された。

◇◇◇

事件から2カ月後。
松山地裁で開かれた初公判。
被告となった夫は、起訴内容を認めた。